デートをドタキャンされるのは当たり前 31歳ゲームプログラマーの婚活が哀しすぎる…

恋愛・結婚

更新日:2016/1/13


『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』(御手洗直子/新書館)

 ここ最近続く婚活ブームの影響からか、出版業界では「婚活実録マンガ」が相次いで登場している。『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』(御手洗直子/新書館)、『BL漫画家ですけど結婚してもいいですか?』(藤本ハルキ/海王社)、『結婚相手ってどこに落ちてるの?』(花津ハナヨ/幻冬舎)…。これらは、いずれも現役のマンガ家が自身の経験をもとに、結婚や婚活の“リアル”を描いた作品だ。

 そんななか登場したのが、『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』(新書館)。なんだかタイトルに見覚えがある…? そう、本作は、前述した『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』の著者である御手洗氏が、自身の夫である「トリ肉」氏を主人公にした婚活マンガなのだ。

 これまで世に出回っていたのは、女性視点の婚活マンガばかり。では、男性視点での婚活マンガはどういった内容なのかというと…、もう涙なしには読めないエピソードが満載。

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 そもそも、トリ肉氏が婚活を始めたきっかけは「31歳になったし、そろそろ婚活でもしてみるか~」という、実にふわっとしたもの。ある意味、婚活というものを舐めていたと言えるだろう。その第一歩として、婚活サイトに登録をしてみたものの、女性からのメールはゼロ! 自らも気になる女性にメールを送るも、その返信もゼロ! 申し込みもなければ、返答もない。そうして1カ月が経過した頃、ようやく届いた初めてのメールが、“カリフォルニアに住む白人のおっさん”からのもの、という哀しい顛末。これには、御手洗氏も涙を隠しきれなかった…。

 そもそも、婚活サイトでは女性が圧倒的に有利。女性が登録すると、1日に100通近いメールが届くのもザラなのだとか。そうなると、自分からメールをするのもお断りメールを返すのも次第に面倒になる、というのも納得だろう。

 ところが、そんなのは序の口。どうにかこうにかやり取りを重ね、いざ初デートにこぎつけるも、ドタキャンは当たり前。会話の途中で「急な用事が入ったので」と帰られてしまったり、あからさまにケータイをいじり始められたりするのもしょっちゅう。まさか、婚活でこんなにダメージを受けるなんて…。

 本気で結婚したいと思っている女性は、かなりシビア。思うに、男性よりもその目は厳しいのだろう。だから、ちょっとでも無理だと思ったら、あっという間に切られてしまう。オタクっぽくて、見た目にも無頓着で、ぽっちゃり体型だったトリ肉氏なんて、婚活という土俵にすらあげてもらえなかったのだ。

 そこでトリ肉氏が選んだ手段が、サイトで知り合った人たちに教えを請うということ。出てきたのは、女性から見る「許せないポイント」の数々…。「車を持っていない」「オシャレじゃない」「四大出じゃない」「公務員じゃない」など、ハードルの高さも実にさまざまだ。そうこうしているうちに、トリ肉氏は、「師匠」と呼ぶ女性に出会うことになる。その師匠が開口一番に言ったのが、「あんたの服装、ないわ」という、非常に心を抉るアドバイス。もはや、HPはほとんど残っていない、瀕死である。

 とはいえ、辛辣なアドバイスも真摯に受け止め、服装改善やダイエットに務めたトリ肉氏。女性とのデートもそれなりにこなせるようになってきたのだが、最終的に選んだのは、「疲れない相手」だった。そう、それが著者である御手洗氏だ。苦手なタバコもお酒ものまず、ワリカン派だからデートも楽、ゲーム話をしても引かない。こんなに楽な相手がいたとは!

 その後の展開は、推して知るべし。これでもかというくらい気が合ったふたりは、交際2カ月にして、結婚を決めたのだった。

 婚活を始めてから、女性に嫌われないように努力を重ねてきたトリ肉氏。身だしなみや会話に気を使い、できる限り女性の理想に近づけるように自身を磨いてきた。その結果、生涯の伴侶となった御手洗氏は、見た目もこだわらず、会話の内容も気にしない女性。…って、それまでの努力は無駄だったのか! いまだにそのことからは目を背けているトリ肉氏である。

文=前田レゴ