ディズニー・プリンセスと実現する「自分磨き」…今、日本一キラキラしている(かもしれない)自己啓発書はコレだ!

ディズニー

公開日:2015/12/2


『ディズニー・プリンセス・レッスン』(PHP研究所:編/PHP研究所)

 「三八つ(さんやつ)」という言葉をご存じでしょうか。三八つとは、新聞朝刊1面の下端にある、書籍広告を指す言葉です。縦は「3段分」の高さ、横は紙面を「8等分」した幅で掲載されることから、この名が付いたといわれています。

 三八つ広告を眺めていると、毎日いかに多くの本がこの世に生まれているかを思い知らされます。奇跡の治療法に、ギャンブルの必勝法、お金が貯まる裏ワザ等々…タイトルを読むだけでも刺激的ですが、そんな中でもユニークな新作が次々と発行されているのが、自己啓発書の類です。

 自己啓発書とは平たく言えば、個人を勇気づける言葉や、その能力を向上させるノウハウが書かれているような書籍のこと。書店によっては大々的に展開されていますし、ビジネス書のコーナーにも、類似のものが多く置かれています。「絶対にうまくいく!」「デキる人になる!」…前向きなタイトルの数々はいかにも力強いゴシック体で表され、読めば眩い未来へと導いてくれそうな頼もしさすら漂わせています。

 今回ご紹介する『ディズニー・プリンセス・レッスン』(PHP研究所:編/PHP研究所)は、そんな雄々しい世界においては異色の輝きを放つ、女性のための自己啓発書です。

 まず、装丁からして異質です。いわゆる自己啓発書にありがちな独特の「覇気」みたいなものは、微塵も感じさせません。表紙と背表紙に示されたタイトルを綴るのは、流行の口紅のようなフューシャピンク。用いられた書体も流れるように美しく、薄桃色の背景に踊るプリンセスたちの衣装には、あろうことか華やかなテキスタイルまでコラージュされています。しかも全編フルカラー…これは最早、本の形をしたお姫様系雑貨と言っても過言ではありません。

 勿論、肝心の中身も読み応えのある仕上がりです。メインコンテンツは、プリンセスたちが登場するディズニー作品のあらすじを辿りながら、その名言を紹介するというもの。登場人物や挿入歌に関する解説を交えながら、ストーリーに込められたメッセージや、プリンセスたちの人間性に迫っています。映像作品を繰り返し見た方であればきっと、ページを手繰るたびに、それぞれの場面を思い出すはずです。

 オフィス街の書店で売れているような、仕事の効率の改善に直結するだとか、煩わしい人間関係の頓服薬になる本ではないかもしれません。しかし、夢見る気持ちを思い出すことで、心が休まる瞬間もあるはずです。暗い部屋でガッツリ読み込むというよりは、お気に入りのお茶を入れながら、穏やかな気分でゆっくり楽しむ…そんなスタイルが似合う一冊ではないでしょうか。

 ところで、同書の各パートには、プリンセスのファッションや、ヘアメイクについて考察したページも挿入されています。実はココも大きな見どころで、見慣れたはずの彼女たちの姿も、改めて光を当ててみると、幾つものこだわりがあることに気付かされます。愛らしい表情を作るべく、白い肌に頬紅をのせる白雪姫。20メートルを超える金髪を、毎日とかし続けるラプンツェル。ブルーのドレスに映えるリップは、薔薇のようなピンク色だと知っていたシンデレラ…美女のお手本のようなルックスも実は、地道な努力や自己分析に基づくものだったのですね。世界中のあこがれを独占しそうな彼女たちもどうやら、初めから完璧なお姫様だった訳ではないようです。そう思うと何だか、夢の国に住む姫君たちも、少しだけ近い存在のように感じられませんか?

 厚さ1センチ足らずの文庫本ではありますが、自己啓発書界隈に一石を投じる――そしてその「一石」も、ダイヤモンドとかルビーとか、キラキラとした石である気がしてなりません!――書籍であると言えるでしょう。お守り代わりに通勤カバンへ入れておくも良し。可愛らしい読書雑貨を添えて、贈り物にしても素敵です。自己啓発書は読んだことがないという方にも是非、手に取っていただきたい一冊です。

文=神田はるよ