焼くと3つの層「魔法のケーキ」勢いとまらず! クリスマスケーキレシピ大公開!

食・料理

更新日:2015/12/7

 「魔法のケーキ」の勢いが止まらない。フランスで大ブームを巻き起こしたGâteau magique(ガトーマジック)=魔法のケーキは、本邦初のレシピ集『魔法のケーキ』(荻田尚子/主婦と生活社)が刊行されるやいなや、日本でも人気が沸騰。発売直後にダ・ヴィンチニュースでも紹介したが、その後、本書は発売1か月余りで6刷・発行部数6万5千部を記録し、このジャンルとしては異例のスピードで売れ続けている。

▲荻田尚子『魔法のケーキ』(主婦と生活社)

 人気の秘密はいつもの材料、いつもの道具で作れる、なんの変哲もない生地が、焼くと3つの層になる手軽さと不思議さ。そしてなんといってもその3つの層--ふわふわスポンジ、とろとろクリーム、もちもちフラン--が織りなすまったく新しい食感が、スイーツマニアはもちろんのこと、これまでお菓子作りに興味がなかった人たちをも引きつけているのだ。

▲上からスポンジ、クリーム、フランと、3つの層ができている。別々に作って後から重ねたものではなく、1つの生地を焼けば自然とできあがるので、とても簡単だ

 折しもクリスマスムード高まる12月。魔法のケーキはクリスマスケーキにもぴったりだ。おすすめのレシピと上手に作るこつを、著者・荻田尚子さんに伺った。

advertisement
▲著者の荻田尚子さん。本格的なフランス菓子の知識と技術をベースに、家庭でも作りやすいお菓子のレシピを提案している

「本の中ではデコレーションを施した豪華なクリスマスケーキも紹介していますが、ここでは手軽に作れる華やかな魔法のケーキを紹介しましょう」と言っておすすめしてくれたのは、赤いくだものがたくさん入った「フリュイ・ルージュ」という魔法のケーキ。基本の魔法のケーキの材料に、冷凍のミックスベリーを加えるだけで作れるというから、初心者でも安心だ。

フリュイ・ルージュの魔法のケーキ

材料(15cm丸型1台分)
卵黄生地
|卵黄 2個分(約40g)
|グラニュー糖 45g
|バター(食塩不使用) 60g
|薄力粉 55g
|牛乳 230ml
メレンゲ
|卵白 2個分(約60g)
|グラニュー糖 25g
ミックスベリー(冷凍) 80g

下準備
・ミックスベリーは解凍し、水けを拭き取る。
・牛乳は常温にもどす。
・バターは溶かす。
・薄力粉はふるう。
・型にオーブンシートを敷く。
・バットにペーパータオル2枚を敷き、オーブンの天板にのせる。
・オーブンは150℃に予熱する。

作り方
1 卵黄生地を作る。ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、泡立て器ですり混ぜる。
2 溶かしたバターを加え、よく混ぜる。
3 薄力粉を加え、2~3分混ぜる。
4 牛乳の1/4量を加えて溶きのばす。残りの牛乳を加えてさらに混ぜ、全体を液状にする。
5 メレンゲを作る。別のボウルに卵白を入れ、ハンドミキサーの低速で30秒ほぐす。グラニュー糖の1/2量を加え、ハンドミキサーの高速で30秒泡立て、残りのグラニュー糖を加え、さらに30秒泡立てる。仕上げに低速で1分ほど泡立てる。
6 卵黄生地にメレンゲを加え、泡立て器で生地を底からすくい上げるようにして5~6回混ぜる。
7 型にミックスベリーをまんべんなく広げ、6を静かに流し入れる。 
8 型をバットにのせ、バットに約60℃の湯を深さ2cmほどまで流し入れ、予熱したオーブンの下段で40~45分焼く。
9 型ごと室温において粗熱をとり、ラップをして冷蔵室に入れ、2時間以上冷やす。

 断面に見える赤いくだものたちがクリスマス気分を盛り上げる。「ミックスベリーがない場合はラズベリーなど1種類のベリーで作っても構いません。仕上がりにマスカルポーネのクリームを添えてもおいしいですよ。マスカルポーネ100gにグラニュー糖10gを混ぜればできあがりです」(荻田さん)

 ポイントは作り方6、卵黄とメレンゲを混ぜ合わせるプロセス。「ここでは“混ぜすぎない”ことがとても重要です。ボウルの底には液状の卵黄生地が、上にはメレンゲが、中間に少し混ざり合ったものがある程度でOK。表面のメレンゲは、最後に泡立て器の先端でさっとなでるようにしてならしてください」(荻田さん)

▲この状態からあと1、2回混ぜるくらいでOK。混ぜすぎると層ができない

 もう1点は「湯せん焼き」。チーズケーキなどに用いる手法で、オーブンの天板や、天板にのせたバットに湯を注ぎ、蒸し焼き状態にする焼き方だ。これによっていちばん上のスポンジの層がふわふわに仕上がる。

▲湯温は60℃前後がベスト。低すぎると失敗する可能性がある。バットに敷いたペーパータオルは下からの熱を弱めるため

 実はフランスのレシピでは湯せん焼きにはしない。そのせいもあってフランスの魔法のケーキは、いちばん上のスポンジの層が薄いのだ。ふわふわとした食感を好む日本人に合わせて、荻田さんが採用した日本独自のアイデアだった。「今年の春ごろから試作を始めて、やっとこのレシピにたどり着きました。最初は本当に3層になるのかと心配にもなりましたが(笑)。多くの人に作っていただいて、とても嬉しいです!」(荻田さん)

▲フランスの魔法のケーキのレシピ本。いずれもスポンジの層はそんなに厚くない

 クリスマスや年末年始のホームパーティ、そしてバレンタインにもぴったりな魔法のケーキ。快進撃はしばらく続きそうだ。

撮影:三木麻奈