「本当の銀行通帳より貯まる自信がある」大人もやりたいと話題の“読書通帳”とは

文芸・カルチャー

2015/12/5

 鎌倉市図書館の公式Twitter「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい」や、愛知県小牧市の“ツタヤ図書館”建設計画の白紙など、何かと図書館が取り沙汰された2015年。しかし、まだまだ図書館熱は冷めないようで、今“読書通帳”なるものが大きな話題を呼んでいる。

 山口県下関市にある市立中央図書館が、2010年3月、全国に先駆け導入した読書通帳。銀行で使う預金通帳と同じ形をした読書通帳は、本を借りた後、専用機械に入れると、貸出日や書籍名が印字される通帳だ。同図書館館長の話では、「互いに見せ合い、読んだ本の数を競争する子どもが多い」とのことで、保護者からも「読まなかった兄が、弟の影響で本を読むようになった」といった声が上がるなど、好評なもよう。結果、導入前に比べ、貸し出し冊数が2倍に伸び、読書通帳の発行もすでに2万冊に達した。

 下関市・市立中央図書館の人気をきっかけに全国にも拡大し、今では12自治体の公共図書館にある読書通帳。中には、愛知県の江南市立図書館のように、満期となった場合、新しい通帳の配布に加え、記念品として缶バッチを贈呈する図書館も見られる。

 子ども心(親心も)を上手に掴んだ読書通帳は、2011年には中学校の図書室にも導入。全国で初めて読書通帳が採用されたのは、同年度より「読書活動の推進」に取り組んでいた東京都江戸川区立上一色中学校で、生徒も教員も全員が読書通帳を持っている。また、同中学校では学力の向上のため「読書科」というものを設けており、朝読書や年間7時間の読書活動の時間を充実させ、読書の楽しさを味わうと共に、読書から得た知識や感動を発表する力を身に付けさせている。さらに、教員も年間30冊を目標に掲げ、読書により得た技能を授業に生かしているそうだ。

 ただ、徐々に浸透しつつある読書通帳だが、全部が全部、預金通帳タイプというわけではない。大きく分けて、利用者が自分で貸し出し記録を書き込む“自書タイプ”、貸し出し記録が印字されたシールを貼る“お薬手帳タイプ”、そこに預金通帳タイプを加えた3つのタイプに分類されるという。印字されるだけでは味気ないと感じる人には、感想が書ける自書タイプやお薬手帳タイプが適すと思われる。

 そんな読書通帳に、「いい大人だけど、これはやりたい。無料で読んだ本の数を眺めて、『いくら浮いた』とかニヤニヤしたい」「これはいいかもしれない。借りた本の履歴もさることながら、資料として借りた本をもう1度探すときに便利そうだ」「近所の図書館でも導入してほしいな。どこの出版社かわからなくなっちゃうこと少なそうだし」「地元の図書館はプリペイドカード型の図書カードで貸し出ししてますが、履歴が残らないので、通帳型は羨ましい」など、世間からも絶賛する声が上がっている。

 中には、「我が家の場合、本当の銀行通帳より、ずっとずっといっぱい貯まる自信がある」という自虐的な人や、「高校のころの彼女が読書好きで、学校の図書館の本にはことごとく既読の印が。影響されて半年で100冊は読んだけど、あの子は元気にしてるかな? 幸せになってるといいな」と懐かしむ人、また「本屋に導入したらどうだろ? 何巻まで買ったかよくわからなくなるから」と提案する人なども見られるが、どれも好意的な声ばかりだ。

 これだけ求める人が多いのであれば、是非とも全国すべての図書館に導入してほしいところ。しかし、読書通帳の始まりとなった預金通帳タイプは、機械に1台500万円ほどかかるようで、導入を渋る図書館もあるのだとか。とほほ。