「専業主婦希望の女」vs.「結婚なんて死んでもしたくない男」の恋の行方は!?

マンガ

更新日:2016/1/8


『突然ですが、明日結婚します』1~3巻(宮園いづみ/小学館)

 「好きになった彼が結婚したくない男だった……」

 もしこのような事態に遭遇したら、女子の皆様は一体どうするだろうか? 結婚願望がない女子の場合は、彼と付き合うのに何の問題もないだろう。しかし、結婚を強く希望している女子の場合……。もっといえば「専業主婦」になりたい夢を持っている女子の場合、価値観が大きく異なる彼と付き合うのは、かなりの覚悟がいるに違いない。彼の考え方が変わらなければ、二人の将来には、恐らくそう遠くない未来に「別れ」が待ち構えているからだ。

 宮園いづみのマンガ『突然ですが、明日結婚します』(1~3巻/小学館)は、まさにそんな、結婚して専業主婦になりたい女・高梨あすかと、結婚なんて死んでもしたくない男・名波竜(ななみりゅう)のラブ・バトルが描かれている。

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 大手銀行に営業として勤務する24歳の高梨あすかの夢は、結婚して専業主婦になること。彼女は自分の仕事に誇りを持っており、営業成績は全支店でトップ3に入る優秀な女性なのだが「家を守る専業主婦になりたい」という強い願望を持っている。

 なんでも、小さい頃いじめられていたあすかは、嫌な目に遭って帰ってきたら、抱きしめてくれる専業主婦の母がいる家が、唯一の逃げ場だったのだと言う。いつも笑って楽しそうな母がいる家が、父も妹も弟も大好きだった。そのため、あすかも育ててくれた母のように「嫌なことが会っても安心して帰れる場所」を作りたいという望みを抱いていたのだ。

 一方、N.Y支局から戻ってきたばかりで、昼の情報番組を担当する期待のイケメン若手アナウンサー・名波竜こと「ナナリュー」は、既婚者の女優と4年間不倫していた過去を持つため、結婚に価値を見出せない男だった。

 二人は、あすかが付き合っていた彼氏と結婚目前で別れ、ナナリューがなぐさめたことがきっかけで少しずつ惹かれあっていく。結婚に対する考え方がまるで逆のコンビだが、なぜか惹かれあってしまったのだ――。

 意外だったのだが、ナナリューはあすかの「専業主婦になりたい」考え方自体を否定することは決してしない。専業主婦論議が始まって否定されることが多い彼女に、「専業主婦だって立派な仕事だろ」と肯定する言葉を吐き、

「人の生き方にケチつける女より全然いいよ(一部省略)そのまんまでいいんじゃない?」

 とも言ってのけたのである。

 あすかは、考え方が合わないにもかかわらず「そのままでいい」と言ってくれたナナリューに恋をした。またナナリューも、専業主婦になりたい夢を誰かに否定されても、他人をとやかく言うことはせず、誇りを持って仕事に取り組み、その上で堂々と夢を叶えようとしているあすかを好きになってしまったのである。

 想いが募り、とうとう付き合うことになった二人。しかし、お互いに自分の考え方を変える気は1ミリもないようだ。付き合った先の未来は、「相手の考え方を変えてみせる」と両者共に考えている……。

 恋はいつだって予測不可能で、自分の理想とは逆に、時に急発進で動き始める。だが、妊娠・出産などタイムリミットがある女子にとっては、「結婚」は現実的に考えなければならない大きな課題でもある。価値観が異なるものの、どうしようもなく惹かれあっている二人が選択する未来は、一体どんなものなのだろうか。

 最新刊ではナナリューの元不倫相手や、あすかに「専業主婦になってもらいたい」とプロポーズする別の男性も現れ、ラブ・バトルはさらにヒートアップしている。結婚に対する考え方以外は、相性バッチリで、美男美女カップルで、性格も良い二人。どうか幸せな結末を迎えてほしいと、手に汗を握りながらこれからも見守っていきたいと思う。

文=さゆ