ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」が目指す、演劇の新たな高み

公開日：2015/12/8

　これぞ、まさしくハイパープロジェクション「演劇」だ！　──誰しもが、そう感じたに違いない。軽快な音楽と広がる映像、そして、なによりもそこに生きる役者たち。一体、彼らはどこまで高みを目指すのだろうか……。

　八百屋、と呼ばれる斜めの舞台、その真ん中がぐるり、と動く。その上でボールに向かって構える日向翔陽が、ゆっくりと群衆に抱えられて高く舞い、勢い良く相手コートへと打ち込む。その瞬間、舞台奥には、真っ青な空が広がる──体育館の屋上を模した白い壁いっぱいに、映像が映し出される。上下の高低差を付けて、自在に回る舞台装置のうえ、軽やかに実際のボール（！）を使って試合する。一体、彼らの体幹はどうなっているのだ！　その上で役としての葛藤や喜び、爆発する想いを力強く見るものに伝える。これは、とんでもない挑戦だ。

　主人公・烏野高校の日向翔陽を演じる、須賀健太（スガ・ケンタ）はもともと、アクションや殺陣も学んでいたという。なにより、本作をこよなく愛し、ゲネプロ終了後の囲み取材で「原作を最初の読み切りの号から毎週欠かさず読んでいます。原作の古舘先生にファンレターを書こうと下書きまでしたくらい本当に大好きな作品なので、キャラクターを演じることができてとてもうれしいです」と舞台に立つ喜びを語り、「今、21年間生きてきて最も動き、汗をかいています。『ハイキュー！！』の原作に“頂の景色”という言葉が出てきますが、この作品では、2.5 次元の“頂の景色”を見ることができるのではないかと思っています。全身全霊で演じていきますので、よろしくお願いします！」と座長らしい挨拶を披露。

　その相棒となる、もう一人の主人公・烏野高校の影山飛雄を演じる木村達成（キムラ・タツナリ）は「原作を読んで影山が大好きになり、オーディションの時からこの役は絶対に渡したくないと思っていました。“頂の景色”を見られるよう、舞台上で生きられるよう頑張ります。応援のほどよろしくお願いします」と役への思いを熱く語る。

　続けて、本作でデビューを飾る、ライバル校・青葉城西高校の及川徹を演じる遊馬晃祐（アスマ・コウスケ）は「今回初舞台ということもあり、非常に緊張しています。ですが、今回、演じさせていただく及川は、青葉城西高校のキャプテンという存在でもあるので堂々としていたい。高校3年間やってきたバレーボールで培ったジャンプ力にも注目してほしいです」と意気込みを披露。同じく青葉城西高校の岩泉一を演じる平田雄也（ヒラタ・ユウヤ）は「この『ハイキュー！！』の中で僕が演じる岩泉は、男らしくてかっこよくて、漢（おとこ）の鑑で、心から尊敬しています。全体としてはもちろん、青葉城西高校の熱い気持ちを伝えていければと思っています」と決意を見せた。

　そして、このとんでもない演出を手がけた、ウォーリー木下（ウォーリー・キノシタ）は「今回の作品は、大人気漫画が原作なので、その原作の良さ、キャラクターの良さを実際の人間がやる、ということを念頭において、大切に演出しました。役者の皆さんに演じてもらうことによって、バレーボールを観ているような、あるいは『ハイキュー！！』を読んでいるような、新しい体験をしていただけるのではないかと思います。また、新しい技術をたくさん取り入れているので、そういったデジタルと、汗というアナログの融合も楽しんでいただければと思います」と自身の込めた思いを語った。その言葉通り、最新鋭の技術、そこに負けない熱と力を持つ役者たちがいてこそ、実現した空間に観る者は心躍り、惹きこまれるだろう。

　2.5次元としてだけでなく、演劇としての新たな挑戦が詰まった本公演は現在、東京公演を終え、大阪・シアターBRAVA！、宮城・多賀城市民会館大ホールにて上演されたのち、東京凱旋公演として、12月10日より再びAiiA 2.5 Theater Tokyoへ。12月13日18時に上演される東京凱旋公演の大千秋楽公演は全国92館の映画館にて生中継が決定。ライブビューイングのチケットは現在、絶賛発売中。奇跡の舞台をその目で！