ヒット作はこうして生まれる! 現役作家が語る物語の”書き方”とは?
更新日:2017/11/16
先日、来年2月29日のオープンが発表された新しい小説投稿サイト「カクヨム」。
この「カクヨム」の公式ブログに、現在第一線で活躍する人気作家お二人が「普段どのように小説を書いているのか」や「web小説への思い」などを語ったインタビューが掲載されている。
非常に興味深く、かなりの読みごたえなので、「Webで小説を書いてみようかな」という方にはぜひ読んでみてほしい内容だ。
今回インタビューを受けたのは、入江君人氏(代表作『神さまのいない日曜日』)と鏡貴也氏(代表作『伝説の勇者の伝説』)。
二人のルーツや物語の作り方、今後のWeb小説への思いがこのインタビューで語られているが、ここでは、その中からほんの一部を抜粋して紹介したい。
のちの人気作家二人が、小説を書き始めるきっかけとは?
両氏が小説を書き始めるきっかけは全く違うものだった。
入江:将来設計などなく、むしろいかに人生を破壊するかみたいな行為にはまっていたんです。そのときにふと「小説を書く最後のチャンスかもしれない」と思って書き始めました。
──特別な理由やきっかけがあったわけではなくですか?
入江:そうですね。人生のなかでなにかが熟成されていって、当時はじけたという感じです。その部分に関しては再現性はないと思われます。じゃあなんでそんな人間でも小説がかけたかというと、やっぱり近所にあった図書館でひたすら本を読んでいた経験があったからでしょうね。
入江氏の通っていた図書館には珍しくライトノベルや漫画が充実していたらしく、そこがライトノベルとの出会いだったようだ。
一方鏡氏の場合、きっかけは意外なことに音楽からであった。
鏡:ふとTVを見ていたら、シャ乱Qの歌が流れてきて。なんだこれ? って見ていたら始まったオープニングが凄い格好良くて驚いたんですよね。『魔術士オーフェン』のアニメだったわけですけど。ただ、そのまま本編を見た記憶はなくて、あのオープニングテーマソング格好良かったな~ってだけで、原作を買って読んでみたんです。それで面白かった。巻末に富士見書房って書いてあるのを見て、作家という仕事に興味を持ったんですよね。
それぞれが違った形でライトノベルに出会い、執筆を始めたのち、富士見書房が毎年主催している新人賞「ファンタジア大賞」に応募することとなる。結果、鏡氏が2000年に準入賞、入江氏は2009年に大賞という成績に輝いている。
では、そんな両氏からどのようにして作品は生み出されるのか。
人気作家はいかにして物語を作るのか?
「小説の作り方」の項目に関しては両氏ともに特に熱く語られているが、今回はプロットの作り方、その冒頭のみを抜き出して紹介させていただきたい。
まずは入江氏の場合。
入江:ある映画を見ていて、その主人公とまわりの状況を真逆の世界の話を作れるんじゃないかなって思ったんです。それでいろいろと設定をこねくりまわしていたら世界観が生まれて、合わせて登場人物を配置して物語を作りました。そういう意味では、『神さまのいない日曜日』の世界観はミステリーのプロット的なやり方だったかもしれません。。
──プロットという言葉が出ましたが、新作を書く際にプロットは作りますか。
入江:うーん、場合によりますね。プロットって基本的に『自分用の物語設計書』と『他人に見せる企画書』の二つがあると思うんですけど、後者は最近つくらないことも増えました。
鏡氏の場合はこうだ。
──小説の作り方についてお聞きします。新作や新シリーズをはじめる際に、プロットは作りますか?
鏡:まずやりたいことがあって、それに対してのプロトタイプのようなものを何回か書きます。やりたいことが一番映える主人公は誰だろうという風に書いていって、その主人公がどんな風に生まれ、何を感じ、どう生きようとしているのか。そういったものがメイン軸として出来上がってきます。そうしたら同じ世界観の中で、どのように生きるのかをしっかりと抱えているキャラクターを何人か主人公の周りに用意する。それで出来上がってくるものがプロット……なんでしょうけど、結果として無視することは多いですね。
『他人に見せる企画書』を作らなくなった入江氏、そして最終的に作り上げたプロットを無視するという鏡氏。それぞれの理由とは…。
先程も述べた通りこの項目に関してはほんの一部、冒頭部分しか紹介していないため、ぜひ公式ブログにて全文を通して読んでいただき、両氏の制作への熱意を感じていただきたい。とくに、入江氏からの、まだ小説を書いたことがない人に向けたアドバイス、鏡氏が”「人が、人に届ける、人の物語」しか人は興味がないと思っている”と語る部分は必読となっている。
「カクヨム」では、先日続刊の刊行が発表された『ゼロの使い魔』の二次創作小説投稿が許諾されるなど続々と新しい動きを見せている。
公式ブログ:新・小説投稿サイト「カクヨム」準備会
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