最近気になるネット用語「オムニチャネル」って何ですか?

ビジネス

2015/12/16


『オムニチャネル戦略』(角井亮一/日本経済新聞出版社)

 便利で身近になったネット通販。近年、その界隈で「オムニチャネル戦略」という言葉をよく目にするようになった。この戦略を掲げる代表的なサービスといえば、今年11月、セブン&アイ・ホールディングスがスタートさせたショッピングサイト「オムニ7」だ。

 セブン-イレブンやイトーヨーカドーなど、同社のグループ会社8社によるこのサービスでは、様々な業種の商品がひとつのサイトに結集。利用者は送料無料で最寄りのコンビニで受け取れるなど、立ち上げ時には、期待の声も多く寄せられていた。

 しかし、ここでひとつ疑問も浮かび上がってくる。そもそも以前から、ネット通販で買ったものを、コンビニで受け取れるサービスはあった。それではなぜ今、オムニチャネルをうたったサービスが注目されているのか。物流コンサルタントの角井亮一さんの書籍『オムニチャネル戦略』(日本経済新聞出版社)を元に、その意味などを探っていきたい。

 アメリカに遅れること3年ほど、日本では昨年頃よりオムニチャネルという言葉が使われるようになった。「オムニ」とは「すべての、あらゆる」という意味で、ここでいうチャネルとは、実店舗やWebサイト、チラシやカタログといった企業などと私たち消費者の接点を表すのだという。

 ただ、以前から実店舗を持ちつつネット通販に販路を求める企業は複数あった。先の説明だけではどちらも違いがないように見られるが、同書では、従来の「マルチチャネル」方式と比較しながらその意味を解説する。

 ポイントとなるのは、私たちが商品を知ってから購入して、受け取るまでの流れである。まず、同書では消費者と店舗との間には、商品を「知る」「調べる」「買う」「受け取る」という4つのプロセスがあると説明する。

 その前提にもとづくと、従来型のマルチチャネルを活かした方式の場合、チャネルごとのプロセスは一本道となる。商品の在庫は、実店舗や通販サイトごとにバラバラ。なおかつ、消費者は実店舗なら買い物を済ませてレジ前で受け取る、通販サイトでは決済が完了したのち、配送で受け取るといったように、商品を手に入れる方法がそれぞれ独立していた。

 一方、オムニチャネルの場合、商品を知るきっかけがどこであろうと、最終的にどう受け取るかは消費者に委ねられている。これを同書では「お客様が商品を欲しいと思ったときに、いつでも注文でき、希望する場所で受け取れる」インフラであると広義に解説するが、例えば、実店舗で買ったものを配送で、ネット通販で買ったものをレジ前で受け取るといったように、消費者側が自分にとって便利な方法を自由に選べるようになる。

 今後、様々な業種間でオムニチャネル化が進むことにより、ネット通販の市場はさらに拡大すると著者は予想する。総務省の「家計消費状況調査」(11月発表)によれば、2人以上の世帯でネット通販を利用したのは全体の26.4%。10年前に約10%だったことからもその成長が著しい様子がみてとれる。

 そして来年以降、冒頭の「オムニ7」をはじめとしたショッピングサイトが主流となるのか。消費者としての利便性がもたらされるよう、めまぐるしく変化するその動向に注目していきたい。

文=カネコシュウヘイ