書店員が選ぶ「先人・偉人たちの人生に学ぶ10冊」

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/27

「本」を知り尽くした「ソムリエ」があなたにぴったりの一冊を選ぶこのコーナー。今月は、紀伊國屋書店久留米店の仕入れ担当・花田吉隆さんが、「先人・偉人たちの人生に学ぶ10冊」をピックアップしました。

■『大正時代の身の上相談』カタログハウス/編 ちくま文庫 714円
昔の人は何に悩んでいたのか? 大正時代の悩みを一挙公開。「ボクノ悩ミハ、オシリガ大キスギルコトデス」知るか~(笑)。

■『名人』川端康成 新潮文庫 380円
第二十一世本因坊秀哉名人の引退碁を川端康成が小説に昇華させた名作。不敗の名人が喫した負けに人生の勝負と美学が交錯。

■『森の生活 ウォールデン』(上・下)H・D・ソロー/著 飯田実/訳 岩波文庫 798円(上)、840円(下)
命とは熱量である。絶やさぬためには燃料(食料)と防寒さえあれば良い。社会も法も武器も必要ない森の生活。ここが原点。

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■『(とう)』沢木耕太郎 新潮文庫 580円
何かを得るためにのみ生きるのか。人生はもっと意味深い。登山家の山野井泰史・妙子がギャチュンカンに挑んだ戦いの記録。

■『翔ぶが如く』(全10巻)司馬遼太郎 文春文庫 570~610円
征韓論から西南戦争までを描いた一大絵巻。それは日本人が腰に魂を帯びていた時代。志(こころざし)を呼び起こす1冊。

■『まんが道』(全14巻)藤子不二雄A 中公文庫 720~800円
藤子富士雄Aの自伝的漫画。漫画家という夢、友情と才能への嫉妬、初恋、就職、そして上京。道に迷ったときに手にしてほしい。

■『戦中派不戦日記』山田風太郎 角川文庫 1000円
時代の流れの中で常に俯瞰で考え冷静に観察することの難しさと大切さ。著者はそれをやってのける。しかも戦争中の日本で。

■『山頭火句集』種田山頭火/著 村上護/編 ちくま文庫 1050円
拠りどころがないという不安は誰もが人生の中で抱く不安と似ている。山頭火が遺した言葉は不安の中にポツリと火を灯す。

■『決断力』羽生善治 角川oneテーマ21 720円
羽生王位・棋聖の名著。人生に決断の場面は間断なく現れる。「経験が決断力を鈍らせる」この言葉は人生の局面で道標となる。

■『新編 風の又三郎』宮沢賢治 新潮文庫 460円
「グスコーブドリの伝記」を収録した文庫。人生は時に理不尽である。その時私はブドリのことを思い出すだろう。賢治の言葉で。

(ダ・ヴィンチ12月号 本のソムリエより)