地球滅亡から“ツチノコ”の正体まで いたって真面目なヘンな本、まとめました!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16


『ヘンな本大全』(洋泉社)

今や電子書籍や自費出版など、出したいと思えばどんな人でも本を出せてしまう時代。中にはその本、本当に必要? 誰が読むの? というような不思議な本も多数存在する。『ヘンな本大全』(洋泉社)は過去に発売されたどこにニーズがあるかわからないようないわゆる奇書や突っ込みどころ満載のとんでも本をおよそ150冊ほど紹介している怪書ガイドブックだ。多ジャンルから構成されており入手困難な本も多数ある。これだけ変な本ばかりを探し続けるのも骨の折れる作業だろう。中でもこれは…と思う本をピックアップしてみた。

児童書にもある奇書とは?

こんなものまで…と思ったジャンルが絵本だ。『おともだちカレー』(きむらゆういち:作、江川智穂:絵/世界文化社)はカレーの絵をこすると実際にカレーの香りがするという面白絵本の1つ。1冊当たり1万個というカプセルに閉じ込められた香り成分を指でこすることで、まるで目の前にカレーがあるかのようなリアルなカレーの香りを感じることができる。読んでいるうちにカレーが食べたくなる子供もいるかもしれない。

ぼくのウンチはなんになる?』(ツシッタ・ラナシンハ:著/ミチコーポレーション)はなんと象の糞を使って作られた「ぞうさんペーパー」を使用したスリランカの絵本だ。しかもその内容がこの紙がどうやって作られたのかに終始しており、まさにまるごと一冊象の糞についてのもの。ふんわりとあたたかい感触…ということだが触ってみたいような怖いような…一瞬手に取ることを躊躇する子供がいるに違いない。このぞうさんペーパーはレターセットなどとしても販売されているので目にする機会があればぜひ触ってみてほしい。

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2015年度流行語大賞トップテンに選ばれた修造本もノミネート!

2015年の流行語大賞トップテンに選ばれた『まいにち、修造!』が絶大な人気を誇る松岡修造氏の『松岡修造の人生を強く生きる83の言葉』(松岡修造/アスコム)もヘンなビジネス本部門にノミネート。

「崖っぷちありがとう!最高だ!」(無我の境地になれる崖っぷちという環境に感謝しようという意味)
「勘違いを特技にするんだ」(たまたまうまくいったことを実力と勘違いして自信をつけよう、の意味)

など、ひとひねりした前向きな言葉がならんでいます。

『まいにち、修造!』とあわせて読んだら来年度はもっと前向きに楽しく生きていけそうな気がする。誰もがツボに入ること間違いなしだ。

ひたすらその情熱に完敗!と言わざるを得ないヘンな本も?

ツチノコは存在する!というその信念だけで書き上げられている本が『ツチノコの正体-神秘の現世動物』(手嶋蜻蛉/三一書房)だ。ツチノコは実在する! と信じて40年、ツチノコに人生を捧げた男の魂の記録、とあるが実際のツチノコの写真は残念ながら載っていない。しかし「ツチノコを車で轢いた」「酒を飲むツチノコ」「ツチノコを飼育していた」など全国各地の今までに集められたツチノコの面白目撃談だけでも一読の価値がありそうだ。男のロマンっていいなあ。

壮大すぎてぴんと来ない天文学的な地球の危機とは?

最後に紹介したいのは『宇宙から恐怖がやってくる!~地球滅亡9つのシナリオ』(フィリップ・プレイト:著/日本放送出版協会)だ。著者は天文学者。カリフォルニア州ソノマ州立大学の宇宙物理学・天文学部門で研究を行うかたわらNASAの研究活動の広報も務めている正真正銘の科学者である。科学者が科学者の立場から地球滅亡の危機を示唆したこの本は、ブラックホール、ガンマ線バースト、太陽の死滅など実際いつ起きてもおかしくない、でも一生起きないかもしれない宇宙の秘密が満載で子供だけでなく大人も読みたい天文学の話が満載だ。正直危機感は全く感じないがワクワクする宇宙の話として純粋に楽しめる一冊。

まだまだ紹介しきれない愛すべきヘンな本の数々、今後も多種多様な奇書が発売されそうだが、書店で誰か一人でもおもわず手に取ってしまったなら、それはそれで需要があったということかもしれない。

文=朝倉志保