広末涼子出演映画『はなちゃんのみそ汁』の”みそ汁”を作ってみた!

食・料理

公開日:2015/12/19


『はなちゃん 12歳の台所』(安武はな/家の光協会)

 みなさんは、乳がんでお母さんを亡くした5歳の女の子が、毎朝必ずみそ汁を作り続けた話をご存知でしょうか? 5歳と言えば、まだ自分自身の身の回りのことをするだけで精一杯な時期。はなちゃんは、病気だったお母さんとの約束で、一番大切な命のために、だしをとることから始めるみそ汁を作り続けました。このお話は映画化され、2016年1月9日に『はなちゃんのみそ汁』というタイトルで公開されます。主人公のはなちゃんも現在は12歳になり、今ではみそ汁だけでなく、必ず毎日夕食を1品作り、お父さんの健康も支えているとか。そんなはなちゃん自慢のレシピをまとめた『はなちゃん 12歳の台所』(安武はな、家の光協会)が発売されました。

 本書では、お母さんから教わった「食材や調味料を自分の目で選び、手間ひまかけて作る」“温かい”レシピが紹介されています。見ているだけでほっこりした気持ちになれます。はなちゃんが実際に作っているレシピなので、子どもと一緒に作れるものばかりです。
レシピの他にも、お母さんがいなくなった後のはなちゃんとお父さんとの生活ぶりなどが紹介されていて、読み物としても楽しめます。今回はこの中から、代名詞であるみそ汁をはじめ、懐かしい味の肉じゃが、三色丼を実際に作ってみました。

みそ汁(P.15)


 前の晩から鍋に水を入れ、昆布を浸しておきます。そのまま火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出し、かつお節を入れて3分ほど煮ます。これを布巾を敷いたざるでこすと、だし汁が完成。このだし汁を鍋に入れ、火にかけたところに豆腐、わかめの順に入れて、沸騰したら火を止め、みそを溶き入れます。最後にねぎをちらせば完成。

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 大人にとっても、毎朝だしをとってみそ汁を作るということさえ大変なのに、はなちゃんはこれを4歳の頃からお母さんに教わってやっていたというから驚きです。お母さんの教えと愛情がたっぷり詰まったこのレシピは、とても優しい味で、豆腐とわかめというシンプルな材料でありながら、とても豪華なみそ汁のように感じました。

食卓が明るくなる三色丼(P.67)


 油をひいた鍋で豚肉を炒め、火が通ったら、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもの順に炒めます。だし、砂糖、しょうゆ、酒、みりんを入れて、ふたをして弱火で15分ほど煮込めば完成。

 こちらはお肉が大好きなお父さんの健康のことを考えて、たっぷりの野菜と一緒に煮込んだ肉じゃがです。お父さんとしては牛肉が良いようですが、豚肉は安い上にビタミンB1がたっぷり入っていて、疲れやイライラをとってくれるという理由から、はなちゃんは豚肉を使っているそう。先ほどのみそ汁でとっていただし汁をここでも使い、少し甘めの煮汁が野菜やお肉にしっかり染み込んでいて、お箸が止まらなくなりました。はなちゃんは、アツアツのご飯につゆごと肉じゃがをのせて食べるのが好きなんだとか。

食卓が明るくなる三色丼(P.67)


 鍋に酒、みりん、しょうゆ、砂糖、しょうが汁、ひき肉を入れて混ぜ、火にかけて汁気がなくなるまで炒めて鶏そぼろを作ります。続いて、割ほぐした卵に塩、砂糖を入れて混ぜ、熱したフライパンに流し入れたら、混ぜながら炒って炒り卵を作ります。器にご飯を盛り、その上に、鶏そぼろ、炒り卵、茹でたほうれん草をバランスよくのせれば完成。

 こちらは元気がなかったお父さんのために作った、気持ちを明るくする三色丼とのこと。ちなみに、お父さんはそれまで三色丼を食べたことがなかったそうで、おふくろの味ならぬ、「はなの味」になるそう。甘辛い味付けの鶏そぼろと、ふんわりした炒り卵、そして、シンプルなほうれん草をのせることで、丼に花が咲いたようにパッと明るくなり、こちらまで楽しい気持ちで食べられました。手軽に作れて栄養もバッチリなので、お弁当にもぴったりですよ。

料理を通して、いつもお母さんを身近に感じていられる
 12歳にもなると、勉強面や生活面など、様々な場面でお母さんに相談できたらと思うことが増えてきたそうです。でもそんな時に料理を作ったり食べたりすることで、お母さんとの繋がりを感じられて自然と落ち着くんだとか。そんなはなちゃんの夢の1つが、お母さんの夢でもあった「みそ汁カフェ」を開いて、病気になる人を少しでも減らしたいそうです。こんな気持ちを持つ人間に成長してくれたこと自身を、誰よりも天国にいるお母さんが喜んでくれていることと思います。「食べることは生きること」を深く実感した1冊でした。

文=JUNKO