進化生物学者・長谷川英祐氏 「組織にはバカ枠が必要!」

科学

公開日:2011/12/1

人気マンガ、佐々木倫子の『チャンネルはそのまま!』(小学館)の舞台は北海道・札幌にあるテレビ局。報道部に配属された新入社員の雪丸花子は「バカ枠」採用だった! バカ枠とは、大化けする可能性(だけ)を買われて採用される新入社員のこと。

このバカ枠について『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー)の著者、進化生物学者の長谷川英祐さんに話を聞いてみた。

「私の専門の一つはアリの社会システムの進化です。アリは働き者として知られていますが、じつは働かないアリがいないとその社会は成り立たないのです。働きアリの間には、働きやすさの個体差が存在し、働かない個体はいつも働かないようになっています。

しかし彼らは無意味な存在ではなく、働くアリが疲れた時、誰かがやらねばならぬ決定的な仕事を代わりにこなす、いないと巣が滅びるとても大切な「怠け者」として準備されているのです。また、仲間を誘導するときも、フェロモンを正しくたどれない「バカアリ」がいると、より効率のいいルートが見つかり、仕事の効率が上がることがわかっています。アリの社会システムには、一見ムダに見える「バカ」が存在することで、実は組織の効率が上がったり、長く存続することが可能になるようなメカニズムが組み込まれています。

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アリの組織にも「バカ」はいますが、ヒトの組織にも「愛すべきバカ」は必要です。ぜひ「バカ枠」をあなたの組織にも」

(ダ・ヴィンチ12月号 コミックダ・ヴィンチ『チャンネルはそのまま!』特集内コラム『組織におけるバカ枠の必要性とは?』」より)