「小海線の歌」短歌コンテスト受賞作決定!

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2016/1/6

 八ヶ岳、野辺山、千曲川───美しい高原を走り続けてきたJR小海線。全31駅から成る同線の、全線開通80周年を記念して開催されたのは、5・7・5・7・7の31音=短歌のコンテストでした。1859首の応募から選ばれた6首を、ここに発表します。

 

◉大賞

降り立ちし野辺山駅の風旨し信州佐久のひとりとなりぬ

市川エツ子(佐久穂町)

【選評】
小海線の最高地点野辺山には、誰もが感じ入る風光の爽快がある。降り立った瞬間の深呼吸の見える「風旨し」で、結婚か、移住か、いずれにしてもそれがひとつの契機となった。「信州佐久」の言葉のひびきの快い下句にも、風土のすべてを受け入れ地域の1人となった実感と満足がある。思いの表現を遂げた秀作です。

 

◉優秀賞

鉄橋を渡るガタゴト音響く天気変ると祖母は言いたり

野村かつ子(佐久市)

【選評】
【新海 誠】情景が目に浮かぶ力作揃いでした。特に選ばせていただいた一首では、「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」とか「夕焼けの翌日は晴れる」とか、まるでそういう自然現象の一つのように「鉄橋から響く音」が描かれています。小海線が風景と生活にいかに調和しているかを深く実感しました。

 

◉優秀賞

小海線田園の中駆けまわる三十一のおくりとむかえ

工藤仁美(佐久市)[岩村田高等学校]

【選評】
【関口靖彦】小海線の31駅、それぞれに見送る人がいて、出迎える人がいる。沿線の風景だけでなく、その中で暮らす人々のあたたかな気持ちが伝わってくる歌でした。老若男女さまざまな人が、泣いたり笑ったりしながら日々を生きている、その体温が感じられました。

 

◉優秀賞

小海線窓に吸い付く水レンズ歪んだ小諸虹が横切る

佐藤萌果(小諸市)[小諸高等学校]

【選評】
【大橋菜央】窓についた水レンズ越しに町を眺めるという旅情緒、そしてその向こうに先ほどまで降っていた雨が止み、小諸の自然と光を受けて虹が広がる様が目に浮かぶ素敵な詩です。また「歪んだ小諸」という表現は水レンズを面白いものとしてとらえる童心に返ったような遊び心まで伝わってくるようです。

 

◉特別賞

星満つる高原を行く一両は人影ひとつふたつを乗せて

内藤史郎(佐久穂町)

【選評】
 満天の輝きを浴びて行く小海線の31音の詩。因みに最高地点野辺山には国立天文台が、また佐久市にはうすだスタードームと子ども未来館がありと、スターウォッチングの聖地の趣があります。光害が星空を阻むことなく、恵まれた高原を行く小海線。終電であろう下句の「一両」と「人影ひとつふたつ」の具体が効いて見送る作者をも彷彿とした一首です。(SAKU BLOOM実行委員会)

 

◉特別賞

ひさしぶり旧友みつけ席をつめ過ぎた記憶にまた色がつく

中嶋悠貴(小諸市)[野沢南高等学校]

【選評】
 小海線車内での旧友との再会が見えるように、聞こえるように詠まれています。都会の省線や新幹線とは違ったふんわりとした雰囲気に包まれている小海線に「席をつめ」の親近感のリアルが効いています。話しているうちに過去の記憶のおぼろのモノクロ的情景が鮮明に甦った「色がつく」で交感の光景詠となりました。(小海線沿線地域活性化協議会)

 

 

コンテスト概要

2015JR小海線全線開通80周年記念事業 「小海線の歌」 短歌コンテスト
主催 佐久広域連合
協力 小海線沿線地域活性化協議会、SAKU BLOOM実行委員会
後援 長野県、山梨県、JR東日本長野支社小海線営業所
※この事業は、長野県地域発元気づくり支援金を活用しています。

募集期間
2015年8月6日〜8月31日
応募数 1859首
表彰式(上の写真) 2015年11月23日 佐久市あいとぴあ臼田

審査委員
第一次選考
(地元短詩型文学祭選者)
木内賢隆、中島雅子
(長野県高等学校教育研究会東信地区国語研究会)
両角文秋[丸子修学館高等学校校長]
澤田浩文[野沢北高等学校国語科教諭]

最終審査
新海 誠 アニメーション監督
関口靖彦 ダ・ヴィンチ編集長
大橋菜央 じゃらん統括編集長
栁田清二 広域連合長(佐久市長)