「オレは死ぬまで休み続けていたい!」 ネット発祥の新人類「まじめ系クズ」の生態

マンガ・アニメ

2015/12/31


『まじめ系クズの日常』(ナンキダイ/講談社)

 あなたは、「まじめ系クズ」という存在を知っているだろうか? これはネットスラングのひとつで、その定義は諸説あるが、「宿題をやらない勇気はないが、極限まで手を抜く」「余計な仕事が振られないように、忙しく頑張っているフリをする」「人当たりの良い笑顔を振りまくが、裏では悪態をつく」などなど、要するに、まじめそうに見えて、中身は正真正銘のクズのことだ。

 非常に遺憾なことだけれど、ぼくも「まじめ系クズ」のレッテルを貼られたことがある。でも、それがそんなに悪いことなのか。ということで、まじめ系クズの実態を描いたマンガ『まじめ系クズの日常』(ナンキダイ/講談社)を参考に、その是非を問いたいと思う!

 本作の主人公・真島九澄は、まじめ系クズとして生きることに全身全霊をかけている高校生。学校での席は一番前に位置しているが、それは最前列が教師の死角であることを知っているから。授業中に落書きをしていてもバレることはない。宿題をきちんとやり、遅刻を絶対にしないのは、たんに悪目立ちしたくないから。それでもサボりたくなるときには、しっかりと仮病を使う。だからこそ、37度そこそこの熱が出ると嬉しい。胸を張って学校を休めるうえに、そこまでしんどくないから家のなかで遊んでいられるというわけだ。

 そんなまじめ系クズの天敵となるのが、正真正銘まじめな優等生タイプ。まじめの皮をかぶり、いかに手を抜くかに尽力している者からすると、劣等感を抱いてしまうのだ。また、純粋なクズもまじめ系クズとは相容れない存在。まじめ系クズは、相手に「負担」はかけても「迷惑」はかけないことを信条としている。だからこそ、周囲の人間に迷惑をかけ続けるクズ(主にヤンキーなど)とは、近いようで遠い存在なのだ。

 ところが、そんな真島の側に寄ってくるのが、まじめ代表の清川誠一と、クズ代表の恐田凶介のふたり。もちろん、真島はそんなふたりを受け入れる。いや、受け入れつつも、心のなかでは、こう叫ぶ。――わずらわしい!!!

 まじめ系クズは、なにかに巻き込まれることを極端に嫌う。余計なことをすれば、いつかボロが出てしまう恐れがあるからだ。だから、他人ともつかず離れずの距離を保つ。それなのに、それなのにだ。清川や恐田は、真島にどんどん近づいてくる。しまいには、クラスの女子と一緒に、遊園地でトリプルデートをするはめに…!

 休日は家にいたい。家でゲームをしながら、そのレビューをメタクソに書き込みたい。それが至福のときなのだ。そんなまじめ系クズが、まさかのトリプルデート。はたして、真島はクラスメイトに自分の正体を知られることなく、無事一日を終えることができるのだろうか。まじめ系クズの運命やいかに!

 本作を読んで非常に共感できたのが、夏休み最終日に真島が発したこの言葉。「オレは死ぬまで休み続けていたい!」。いや、ぼくだけではない、誰もが一度は思ったことがあるはずだ。それでも、それを実行せず、毎日学校や職場に行く。その理由は? 世間体を守るため? もしもそうだとしたら、あなたにもまじめ系クズの素質があるのかもしれない。でも、断言しよう。まじめ系クズは、決して悪いことなんかではない。周囲を欺き、不快な思いをさせず、まじめを装う。これは、現代を生き抜く賢者とも言えよう!

文=前田レゴ