ジャニーズ所属だったロックバンド「THE GOOD-BYE」加賀八郎の闘病生活1094日。 妻で漫画家の池沢理美さんが描く

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更新日:2016/1/6


『はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日』(池沢理美/講談社)
『はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日』(池沢理美/講談社)

 野村義男さんを中心に結成されたジャニーズ事務所所属だったロックバンド、THE GOOD-BYEのベーシスト加賀八郎(かが・はちろう)さんが2010年に多発性骨髄腫を発症し、その3年後に55歳という若さでこの世を去った。

 最後まで八郎さんを支え続けた、妻でマンガ家の池沢理美さんが、夫との3年にわたる闘病生活を描いた『はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日』(池沢理美/講談社)が昨年12月に発売された。

 2010年5月のある日、ぎっくり腰を発症した八郎さん。その後も2か月間、腰だけでなく様々な症状が出たため、そのつど町医者にかかっていたそうだが、ある朝、「寝室の天井に知らない紙が貼ってある」という幻視を訴え、大きな病院へ行くことに。結果は、「多発性骨髄腫」との診断だった。多発性骨髄腫は、血液のガンの一種。しかも「3-B」というかなり進行したステージで、平均寿命は2年~3年だそう。そこから2人の闘病生活が始まったのだ。

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 池沢さん自身が「これは、はっちゃんへの長文ラブレターであり、壮大な”のろけ漫画”」というように、本書には生前、八郎さんからもらった元気と、彼への慈しみの念が込められている。八郎さんは出会った当時も「大事なのはいかに自分が楽しんでるかどうかだ」と池沢さんに教え、嫌なことがあった日には2人で一緒にお酒を飲んで笑い飛ばしてきたそう。それが、八郎さんが病院で闘病している間は、リビングに彼の姿はもちろんない。

「全部覚えておきたい。何一つ忘れたくない」――病床で時折見せる笑顔にほっとし、すぐにまた不安が押し寄せる。それでも未来を信じた池沢さんの強い想いが、こうしてコミックエッセイという形になったのだろう。また、彼とならいつかまた和気あいあいと毎日を送れる。そんな想いが、『はっちゃん、またね』というタイトルからも感じられる。

 闘病中は、八郎さんの人柄を慕って、多くの知人やバンド仲間が尋ね、そんな人たちに力を貰いながら、闘病中にコンサートをすることも。だが、限りのある闘病生活は終盤に差し掛かるほど、胸が締め付けられるような展開になっていく。次第に痩せ細っていく八郎さんの姿、池沢さんの涙…。

 病気の夫を支え続けた妻だからこそ描けた『はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日』。せつなくも愛が溢れる2人の日々をぜひあなたの目で確かめてもらいたい。

文=女生徒