お正月・長寿祝いには何を贈る? シーンに合わせたおくりものをご紹介

暮らし

公開日:2016/1/16


『暮らしのおくりもの』(堀川波/ベストセラーズ)

 誰かからおくられた品を見ると、その人のことを思い出す、誰かにおくりものをおくると、相手が喜んでくれるかが気になってしまう……そんな、人を一喜一憂させるおくりものについて紹介しているのが『暮らしのおくりもの』(堀川 波/ベストセラーズ)です。本書では、季節・記念日・日常のささやかなおくりものをガイドしています。

 季節のおくりものと一口に言っても、当然ながら春夏秋冬でバリエーションはかなり変わります。例えば、冬の場合。お正月のおくりものを考えてみると「福を招くお菓子」などがいいかもしれません。祝菓子ともいうこれには、お多福を象った「菱はなびら」「初笑」などを初め、見た目にも可愛らしい「門前鳩合わせ最中」や、まるで金太郎飴のように断面に富士山が描かれている「富士山羊羹」なんてものもあります。年の始まりに縁起の良いお菓子をおくって、相手の1年が安泰しますようにという思いを裏に込めてみてはいかがでしょうか。

 また、冬は受験シーズンでもあります。となれば合格祈願は誰もが願うこと……その願いをおくりものに込めるのも一興です。合格祈願のお菓子には、「トッパ」「キットカット」「コアラのマーチ」などがあります。「トッパ」と「キットカット」は、それぞれ「突破」と「きっと勝つ」の語呂合わせ、コアラは寝ている間も木から落ちないことから「受験に落ちない」縁起物として、それにあやかったのです。身近なお菓子ですので、受験生への差し入れの他、友達同士でおくり合っても良いかもしれません。

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 記念日と一口に言っても、その種類は様々です。ひとつひとつを見ていけば、枚挙にいとまがありません。そこで、この場では日が定まらない長寿のお祝いについて紹介します。現在では大半の人が迎える「還暦」ですが、平均寿命が短かった昔は、これも長寿とされていました。さて、現在は満60歳(数えならば61)で迎えるこの還暦に……実は、基調色があるということをご存じでしょうか。長寿暦によって変わりますが、還暦の基調色は赤です。このため、還暦のお祝いは赤いもの良いとされます。例えば、おくる相手が女性ならルビー・ガーネットを装飾したアクセサリー、男性におくるなら文字盤がワインレッドの腕時計などでしょうか。性別に関係なくおくれるものとしては、赤の色が綺麗な江戸切り子のグラス(瑠璃色のものとペアにしても良いようです)などがあります。先方が食べることが好きな人なら、イチゴ・さくらんぼ・牛肉などの赤い食べ物も良いですね。

 他の長寿歴の基調色は、古希(70)・喜寿(77)が紫、傘寿(80)・米寿(88)が金茶、卒寿(90)・白寿(99)が白です。それぞれのお祝い品をおくる時、良い参考になりますね(括弧の中は全て数え年です)。

 では最後に、日々の何気ないおくりものを見てみましょう。訪問先が友人など親しい人である場合は、さほど気を使うこともないでしょうが、ご年配や上司など目上の人である場合は、やはりそれなりのものを持って行きたいでしょう。例えば、由緒ある皇室にゆかりのあるお菓子などです。これには、麻生十番のたぬき煎餅、文明堂東京のカステラ、鶴屋吉信の柚餅などがあります。たぬき煎餅と文明堂東京のカステラは、かつての宮内庁御用達を拝命していたお菓子です。1954年に宮内庁御用達制度は無くなりましたが、宮内庁が認めたこれらのお菓子の味は変わりません。また、柚餅は、昭和天皇がお買い上げされたことで有名です。

 本書には、1年を通した行事一覧表も掲載されています。おくりものは、やはり何かと行事にあやかったものになりますので「この時期にはこういう行事があるから」と、それに合わせたおくりもの選びの一助になるでしょう。ちなみに、この行事一覧表には、なんと誕生石や誕生花(とその花言葉)までもが載っています。友達へのおくりものなどは、これを参考に誕生石または誕生花をあしらった品をおくるのも良いかもしれませんね。

文=柚兎