「捨てるより大切なこと」とは? ミニマリストという生き方

生活

2016/1/18


『モノは好き、でも身軽に生きたい。』(本多さおり/大和書房)

 最近流行りの「ミニマリスト」という生き方をご存じだろうか。今まで溢れかえっていたモノを断捨離して、部屋の中に必要最低限のモノしか置かずに生きる人たちが、今、話題となっている。

 そんなミニマリストたちは、テレビなどの特集などを見る限り、ごくごくわずかなモノだけで生活しているようで、モノが好きな人にとってはハードルが高いように感じるかもしれない。しかし、モノが好きだという人こそ、大好きなモノは大切にしたいと考えるはず。「無駄のない、シンプルな暮らし」には憧れるのではないだろうか。

 「モノが大好き」という人にこそ紹介したいのが、『モノは好き、でも身軽に生きたい。』(本多さおり/大和書房)である。

 本書では、整理収納コンサルタントとして活躍中の著者が日々実践する、「人生を複雑にしない方法」が紹介されている。30代になり、「いつだって身軽でいたい」という気持ちが増すようになったという著者。

「身軽に生きたい」と言いつつ、一方で私はモノが大好き。マグカップが欲しければ、「これは!」と思う一品に出会うための手間と時間をどれほどでも費やしたいし、その工程を楽しみたいと思っています。それはつまり、物欲に支配されないモノ選び。

 今や、小さい家で、少ないモノで暮らしている著者。「モノに対する欲が少ないのだろう」と勘違いされることもしばしばであるというが、実際はその逆、「モノに対する欲がとても強い」のだという。

 では、そんな著者はいかにしてモノを選び、愛用しているのだろうか。

 身軽に生きるための心得として、著者がオススメしている考え方を紹介したい。それは、「たくさんある」ではなく、どれも気に入っているから得られる満足感があるという考え方である。

 例えば、服好きの人ほどたくさんの服を持っているものだ。しかし、その量があまりに多いとなると、お気に入りとして買ったはずの服も次第に着なくなり、ときめきまでもくすませてしまうことになりかねない。それより、少ない量でも全部気に入っている状態を作るのが望ましいのだと言える。

「モノはすべて現役主義」
家の中に使っていないモノが溜まれば、実利を伴わないコストだけがかさみ、家の中のスペースを奪って快適な暮らしを遠ざけてしまいます。

 器好きの著者も、これぞと思える器が現れるまで、根気強く待つのだという。新たな器が増えるということは、今使っている器の働く機会が減るということ。モノは、毎日使い、使えば使うほど喜びをこみ上げさせてくれるような現役選手を、少数精鋭で回すのが理想であるという。

「欲しい」気持ちで手に入れたはずのモノなのに、ちょっと時間が経つとどうでもよくなってしまうのは悲しいことです。

 だからこそ、モノを買うときこそこだわって、本当の本当に必要なものか考えることが必要であるというのだ。

 おもちゃをねだった子供時代から「モノへの欲求」は芽生え、お小遣いをもらったり、バイトで稼ぐようになったり、そして社会人として働いてお給料をもらったり…その過程で、欲しいモノを手に入れる快感が身につく。そんな快感を求める欲求といかに付き合っていくのかが、「身軽に生きる」ためには必要であるという。

 本書では、そのためのモノ選びのルール8か条、そうしたルールのもとで厳選したモノとの筆者の暮らし、キッチンツールやアウトドアツールの活用の仕方など、身軽に生きるための具体的な方法が紹介されている。

 全てのページが写真付き、まるで雑誌を読んでいるかのような感覚で読み進めることができる。少ないモノで暮らしているはずの著者の暮らしが、モノに溢れた私たちの生活と比べてどれだけ身軽で、そして豊かであるかが伝わってくる。

 モノが大好きな人こそ、モノの選び方、使い方を変えてみることは、大好きなモノをきちんと使いこなすことにつながるはずである。本当はもっと身軽に生きたい!シンプルに生きたい!と考えている人に、オススメしたい一冊だ。

文=松尾果歩