新海誠の自主制作作品『彼女と彼女の猫』TVアニメ化にファンも期待「新海さんが手掛けない新海作品は気になる」

マンガ

公開日:2016/1/21


 最新作「君の名は。」が2016年8月に公開予定となっているアニメーション監督・新海誠。かつて同氏が自主制作したアニメ「彼女と彼女の猫」が、TVアニメとして蘇り3月より放送されることがわかった。映像美、そして登場キャラクターの感情が滲み出る作風が心を打つ新海の初期作とあって、「彼女と彼女の猫」がどのように生まれ変わるのか、楽しみにするファンは多いようだ。

 Mac1台ですべての作業をほぼひとりで作り上げ、「第6回 文化庁メディア芸術祭」デジタルアート部門・特別賞をはじめ、数々の賞を受賞した「ほしのこえ」。声優陣に吉岡秀隆や萩原聖人らを迎え、南北に分断された戦後の日本を舞台に描いた、初の劇場長編作「雲のむこう、約束の場所」。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」という3本の短編を、遠野貴樹の成長を軸に連ねた切なく美しい悲恋物語「秒速5センチメートル」… と、次々に作品を発表し、ことごとく国内外から高い評価を受けてきた新海。「彼女と彼女の猫」はそうした作品以前、ゲーム会社に勤める傍ら新海が制作した短編アニメだ。

 2013年には永川成基による小説版も刊行された「彼女と彼女の猫」は、都会でひとり暮らしをする女性と偶然拾った猫の物語。短い作品でありながら、自分の感情を言葉にするのが苦手な女性と、それを近くで見守る猫との日常を見事に切り取り、「第12回 DoGA CGアニメコンテスト」でグランプリを獲得した。

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 その「彼女と彼女の猫」を、「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」というタイトルにし、1月より始まったTVアニメ「石膏ボーイズ」や「シュヴァルツェスマーケン」などのライデンフィルムが新たに創設した「ライデンフィルム京都スタジオ」が制作する。監督は京都アニメーション出身の坂本一也、脚本は小説版「彼女と彼女の猫」を執筆した永川成基、キャラクターデザイン・総作画監督は「アルスラーン戦記」の原画などに携わる海島千本が担当する。

 キャストは、新海作品「言の葉の庭」でヒロイン・ユキノを演じた花澤香菜が彼女役、黒猫役には「ダイヤのA」倉持洋一などで知られる浅沼晋太郎、友人役には2期の放送が始まったばかりの「暗殺教室」で奥田愛美を案じる矢作紗友里が、それぞれ抜擢された。

 これらの決定について、新海は「監督は俊英、坂本一也さん。脚本は素晴らしい小説版「~彼女の猫」も書いてくださった永川成基さん。キャストは皆さん大好き(僕も大好き)花澤香菜さん、浅沼晋太郎さんなど。僕も放送をとても楽しみにしております!」と、太鼓判を押すかのようにツイート。楽しみにするファンからも、「なんと嬉しいニュース!」「それは驚きかつ、素晴らしいニュースですね! キャストも豪華!」「なんだか新しいことですね! 違った視点で新海さんの作品に触れられるのはワクワクします」「新海作品がTVシリーズで観られるとは! それに1週間前に小説版を買ったところなのです」「もう何百回、もしかすると何千回観てるかも知れないこともあって、今回のアニメは非常に楽しみです!」といったリプライを寄せた。

 ほかにも、3月から始まる「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」に対し、「要チェック! 見る価値有り! 新海作品!」「深夜に新海とかグっと来るな」「新海さんが手掛けない新海作品は気になるね」「ざーさん(花澤)は『言の葉の庭』も良かったから期待大」などの声が上がっている。

 小説版とTVアニメ版を同じ永川が手掛けるだけに、先に小説をチェックし、TVアニメで変更点やアレンジ点などを探すと面白いかもしれない。

TVアニメ「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」
原作:新海誠
監督:坂本一也
脚本:永川成基
キャラクターデザイン・総作画監督:海島千本
出演:花澤香菜/浅沼晋太郎/矢作紗友里
アニメーション制作:ライデンフィルム京都スタジオ
製作:彼女と彼女の猫EF製作委員会

■『彼女と彼女の猫
原作:新海誠
著:永川成基
価格:1,300円(+税)
発売日:2013年6月13日
出版社:カンゼン