子宮筋腫にキンタマと命名、元舅の恐怖…結婚生活の酸いが詰まった『結婚はつらいよ!』

恋愛・結婚

更新日:2016/1/27


『結婚はつらいよ!』(今村三菜/幻冬舎)

 人生の一大イベント“結婚”。華々しい結婚式のあとにはじまるのは「結婚生活」という長い日常だ。現在発売中の『結婚はつらいよ!』(今村三菜/幻冬舎)には、そのタイトルに違わず、著者自身の結婚生活や実家の両親、妹夫婦、友人夫婦など、さまざまな夫婦の“結婚”が赤裸々に綴られている。ちなみに著者の伯母は、“放送事故レシピ”で話題の料理愛好家・平野レミだ。

 まずは著者の結婚から順当に書かれていくのかと思いきや、最初に語られるのは「離婚原因の小さな一つ」。なんと、冒頭から著者の離婚を扱うというマイナススタートなのだ。このサブタイトルを見ただけでも「あっ、結婚つらい……!」と思わざるを得ない構成にはあっぱれ。

 そんな離婚原因のひとつ として挙がっているのが、元舅の存在。著者が有無をいわさず「初対面からダメであった」と語る元舅は、織田無道似。初対面の日は、食後すぐに横になりイビキをかく元舅を見て「これでいいのかな」なんて思いながら結婚すると、決定的な出来事が起きる。

 義両親が新婚の今村家に泊まりにきた際、ひとつ の布団で上半身裸の舅の腕の中で姑が眠る姿を目撃してしまい、著者は「『セックス……』と、思った」。ついには、姑からいつ帰省するか訊かれただけでも「セックス……」と思うようになってしまったというから、ツラすぎる。彼女の思考は少々極端かもしれないが、舅と姑という家族とも言い切れない存在の性生活まで想像させられるのは、なんとも不快だったはず。離婚の原因は結婚相手だけにあるとは限らない、そんな現実を感じさせるエピソードだ。

 そのほか、さまざまな不妊治療を受け、出産を諦めた著者の子宮にある2つの筋腫を「私の立派なキンタマ」と呼んで見守っていたり、臨終を迎えようとする祖母の横で、まだ息を引き取っていないにもかかわらず 、早とちりした著者の母と伯母が抱き合って大泣きする……などなど、テーマの重さとは裏腹にどこか笑えるエピソードが満載だ。それもこれも、日常に起きた出来事を珍事件として昇華できる著者の技なのかもしれない。

 同書でさまざまな“人生”に触れれば「もうちょっとだけ、結婚生活をがんばってみるか」なんて、少しだけ前向きになれるかもしれない。

文=谷口京子(清談社)