原爆何発で台風を吹っ飛ばせる? 思わず人に話したくなる、もしもの科学大実験

科学

2016/1/30


『全人類で一斉にジャンプしたら地球は凹む? もしもの地球大実験』(荒舩良孝/宝島社)

「お空はどうして青いの?」「なんでゾウさんの鼻はあんなに長いの?」「どうして海の水はしょっぱいの?」。こうした子供の素朴な疑問は微笑ましくも親を悩ませます。それでも大人ならちゃんと答えられますよね。では、質問です。全人類が一斉にジャンプしたら地球はどうなるでしょうか?

全人類で一斉にジャンプしたら地球は凹む? もしもの地球大実験』(荒舩良孝/宝島社)によれば、どんなに体重のある人でもジャンプして地面が凹むのはせいぜい数十cmです。地球の半径は6400kmもあるので、数十cm程度の変化は誤差の範囲。したがって、「地球には何の影響もない」が答えです。本書は、このようなユニークな71個の疑問に真面目かつ本気で科学知識や数学を使って解説しています。誰もが一度は「もしも○○だったら」と考えるような謎や疑問に科学はどんな答えを返すのでしょうか。

爆弾で自然災害を消せる?

 アニメや映画などで、台風にミサイルを撃ちこんで消滅させたり、火山に爆弾を放り込んで噴火させたりするシーンがあります。あれは現実で可能なのでしょうか。アメリカや中国などの国々では、昔から科学で自然災害を防ぐ実験が行われています。しかし台風は、半径100km程度の小型台風でも、そのエネルギーは1500兆キロジュールになります。これは広島に投下された原子爆弾の2万4千発分です。日本の観測史上最大の1976年台風17号のエネルギーは、なんと原爆300万発分! 台風を核ミサイルで相殺する前に人類が滅んでしまいますね。

 火山噴火のエネルギーも膨大です。1回の噴火で一般的なTNT(トルニトルエン)火薬に換算して数千~数万トンに相当します。実際に1935年、ハワイのマウナロア火山で溶岩の流れを変えようと6トンの爆弾を投下して火山噴火の被害を抑えようとした事例があります。しかし望む成果は得られなかったそうです。また台風や火山に余計な刺激を与えたせいで逆に勢力を増したり、集中豪雨が発生したり、事態を悪化させてしまう危険性も考えられます。ミサイルや爆弾を使って自然災害を防ぐのは難しいようです。科学者の方々には、もっと安全な方法を考えてほしいですね。

金(Au)は人工的に作れる?

 古来より人類が貨幣や装飾品に用いてきた貴金属の金(Au)。中世ヨーロッパでは金を作り出す錬金術が盛んに研究され、それが現代科学の礎となりました。現代でも装飾品の他に電子機器の半導体の材料などにも使われていて、私たちの生活に欠かせないものです。では、現代の科学技術で金を人工的に作るのは可能なのでしょうか。答えは、不可能だそうです。その理由は、「金は地球上のものではないから」というびっくりな解説でした!

 最近の研究で、金は中性子星という天体が関係することがわかってきました。中性子星とは星が死を迎えた後に残る、原子すら押し潰す密度の高い天体のこと。宇宙でこの中性子星が他の天体とぶつかり、そのときに発生したエネルギーによって金などの重い元素が作られるのです。つまり地球に存在する金はすべて宇宙からやってきたもの。地球上では、中性子星が衝突するほどのエネルギーは作れないので、金を人工的に作るのは不可能と結論づけています。限りある資源だと思うとなおさら貴重なものに感じられます。

ビッグバンはどんな音?

 宇宙は138億年前にビッグバンによって誕生したということは皆さんも知っているかと思います。では、もしも宇宙でもう一度ビッグバンが起こったら、地球にいる私たちはその爆発音を聞けるのでしょうか。答えは、残念ながら聞こえません。宇宙は風船を膨らますようにいまも膨張しています。もしビッグバンが起こったとしても、爆心から離れるほどに音の周波数は長くなり、地球に到達するころには人間の可聴域では聞こえないほど低い音になってしまうのだそうです。

 しかし、聞こえなくとも、聞くことができます。ビッグバン直後の宇宙はとても狭く、そこに存在するすべての物質は一定に振動していました。この現象を物理学では「バリオン音響振動」といいます。この振動音は、宇宙の膨張に引き伸ばされながらもこの宇宙に残っています。その音を人間にも聞けるように調節した「ビッグバン・アコースティック」はインターネット上でも聞くことができます。皆さんも、宇宙誕生の産声を聞いてみてください。

 科学は社会の役に立ってこそ。しかし、役に立たないムダ科学もとても面白いものです。もしもの疑問から、誰も思いつかなかった研究や技術が生まれることもあります。皆さんも、もしもの疑問を思いついたら、答えを考えてみてはいかがでしょうか。

文=愛咲優詩