私たちが使っているのは「たった1%」の表面意識!? 無意識の力で幸せを習慣化する方法

暮らし

公開日:2016/2/12


『無意識はいつも正しい』(クスド フトシ/ワニブックス)

「無意識」に助けられること…例えば、「無意識にパッと動いた」「無意識だったのに見つけた」など、特に意識しているわけではないのに、助けられたり、正しい行動ができたりすることはないだろうか。

 私たちがものごとを判断するのに使っているのは、脳のうちたった1割しかないという「表面意識」の部分。残りの9割を支配している「無意識」の部分は、ほとんど使いこなせていないらしい。その無意識の力を認識し、活用することで、仕事や恋愛、お金や人間関係の悩みを解消し、幸せを習慣化することができると提唱しているのが、クスドフトシ氏の著書、『無意識はいつも正しい』(クスド フトシ/ワニブックス)である。

 著者は20代の頃、仕事やお金、恋愛も人間関係も全てうまくいかず、引きこもり、ニート、鬱を経験している。そんな著者がある日、引きこもっていたベッドの上で気づいたのは、「心の問題ばかり考えていた」こと。

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“悩みや心配事、不安という目には見えない[心の部分]を解決しようと思えば、心だけでなく[体]からアプローチすることも大切なのではないかと思ったのです。”

 そうして考えるうちに、うまくいかない時こそ、無意識に任せることが大切であるのではないかという結論にたどり着いた。

 本書を読み進めていくと、「無意識」は普段意識していないだけであって、私たちの周りで起こることや、抱く不安や自信など、全てにおいて、確かに「無意識」の力がはたらいていることがわかる。

 それは、自分の行動の元を辿っていくことでもわかる。例えば、ある本を手に取った理由は「たまたま目に入ったから」、彼を好きになったのは「顔や性格がタイプだったから」、靴下をいつも右足から履くのは「おそらくそれが習慣だから」…、「たまたま目に入ったのはなぜ?」「その顔や性格が好みになったのはなぜ?」「習慣になったのはなぜ?」と、どんどん掘り下げて考えていくと、理屈では説明できないと気づく。これが「無意識」や「潜在意識」である。

「無意識」も、これまでの人生をかけて形成してきた、当たり前すぎて忘れている、「自分の習慣」である。著者は、その習慣や、無意識に対する意識をちょっと変えることで、無意識の力を使いこなすことができるようになると語る。

 例えば、人生が思い通りにいかない!と悩む人が口を揃えて言う「自信がない」という言葉。私たちが今抱いている「自信」は、単純に言えば、人生の中で「うまくいくかもしれない」「失敗するかもしれない」といった、「かもしれない」の積み重ねによって形成されたものであり、成功体験や失敗体験によって強化されたりもろくなったりを繰り返しながら、潜在的な意識に刷り込まれてきたものなのだ。だからこそ、将来の自信をつくるには、1%でも可能性を見出して、ポジティブな「かもしれない」を意識的に積み重ねていくことも効果的なのだ。

 また、著者は、私たちがいつも「0か100か」でものごとを考えがちであると指摘している。

“今までの思考や感情を無理に変えたり、排除しようとしたりせず、そのまま生かした状態で少しだけ”意識の向き”を変えてみる、もしくは逆手にとってあらゆる可能性を考えてみるということです。”

 例えば、「ネガティブなこと、ポジティブなこと、全てをありのままの自分として受け入れましょう」と言われたとしても、「全て受け入れなければいけない」「考えすぎてはいけない」と0や100を目指してしまえば、余計にストレスやプレッシャーを感じてしまう。

“可能性を1%でも認め続けた時、あなたに自信がつくようになっています。”

 無意識は、こうした習慣の積み重ねであり、無意識に耳を傾けることを習慣化することで、「幸せを習慣化させる」ことができるようになるという。

 本書では、「なぜかうまくいかない」原因について、わかりやすい例をもとに解説されており、無意識へアプローチしながら解消するための、例えば「リバースメソッド」や「親指メソッド」「耳もみメソッド」といった、全部で16のユニークなメソッドが紹介されている。

 認識していないのに脳の9割をも占める「無意識」が、私たちの可能性を広げ、幸せへと導いてくれると言われても…今まで意識していなかっただけに、正直、いまいち正体のわからない「無意識」。でも、その力は確かに存在しているような気がするのだ。だからこそ、簡単なメソッドで、「無意識」の部分をちょっと意識してみて、本当に「無意識はいつも正しい」のか、試してみたくなる一冊だ。

文=松尾果歩