介護、相続、年金… “サザエさんち”が教えてくれる少し先の未来 ―磯野家&フグ田家書籍をまとめてみた

生活

公開日:2016/2/23

 高齢化が進む日本。2060年には、人口の4割近くが65歳以上になるとも言われている(国立社会保障・人口問題研究所)。現在も、家族の介護や独居老人の問題が頻繁にニュース番組等で取り上げられ、年金給付も将来どうなるのか不透明だ。誰もがいずれ経験する可能性が高い問題だが、様々な制度が複雑に絡み、イメージするのは難しいかもしれない。

 そんな方は、国民的長寿アニメ『サザエさん』でお馴染みの磯野家、フグ田家をモデルにした書籍を参考にしてみてはどうだろうか。法律などは変更される可能性があるため、適宜チェックしていただく必要はあるが、“息子”や“孫”と記載するのではなく、“カツオ”“タラちゃん”とアニメの登場人物になぞらえて説明されているため、とても分かりやすい。家族構成が異なる場合でも、知識としては十分に活用できそうだ。

フグ田マスオさん 家を買う。』(峰尾茂克/河出書房新社)

 今後のライフプランやお金の問題を細かく考えるには、マイホーム購入が良い機会になりそうだ。かなり大きな買い物になり、数十年間の住宅ローンを組むケースも多い。それだけに、慎重な検討が必要だが、実際にどんなことを考慮すればいいのだろう? この疑問に答えてくれるのが『フグ田マスオさん 家を買う。』(峰尾茂克/河出書房新社)だ。20XX年にカツオが結婚し、夫婦で磯野家に同居するようになり、ワカメも独立していない。そのため、家が手狭になりマスオとサザエが住まいの購入を検討する、という設定だ。中古マンション、新築マンション、戸建て、土地購入など、それぞれのケースについて知っておくと得する知識が満載。将来のライフプランを作成する重要性も指摘されている。

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磯野家の年金』(「磯野家の年金」編集部/ゴマブックス)

 マイホーム購入に際しては、老後のプランも練る必要がある。しかし、将来年金はどのくらいもらえるのだろうか? 磯野家では、まず波平の年金だ。『磯野家の年金』(「磯野家の年金」編集部/ゴマブックス)では、タラちゃんが41歳になる(と想定される)2050年に年金制度が崩壊すると指摘。波平が60歳で繰り上げ受給すべきか、65歳まで待つべきか、波平とフネが離婚したらどうなるのかなど、年金に対する疑問に分かりやすく答えてくれている。制度に変更が生じる可能性はあるが、基礎知識を身につけるという意味では大いに参考になりそうだ。

磯野家の介護』(澤田信子:監修/ジービー)

 年金問題もさることながら、磯野家に一大事が起こる。一家の大黒柱だった波平も85歳になり、どうやら認知症になってしまった模様…という設定で介護の現実を紹介するのは『磯野家の介護』(澤田信子:監修/ジービー)だ。冬なのに夏だと思ってアロハシャツを着てみたり、つじつまの合わないことを言ったりすることもあれば、普通のこともあったりと、いわゆる“まだら”状態。本書では、様々な行動、症状への対応方法や心がけ、行政の活用方法などが紹介されている。

磯野家の相続』(長谷川裕雅/すばる舎)
磯野家の相続 リタ~ンず』(長谷川裕雅/すばる舎)
【最新版】 磯野家の相続税』(長谷川裕雅/すばる舎)

 そして訪れた波平の死。悲しみに暮れる暇もなく磯野家、フグ田家、さらに波野家(ノリスケ、タイ子他)にまで降りかかるのが相続問題だ。『磯野家の相続』(長谷川裕雅/すばる舎)では、どんなに幸せな家族でも遺産相続では必ず揉めると指摘。単なるお金の問題とはとらえずに、様々なケースを想定して遺言書を作成することを推奨している。さらに、『磯野家の相続 リタ~ンず』(長谷川裕雅/すばる舎)では、相続全般が図解入りで分かりやすく解説されている。誰がどのくらい相続するのか決まった後で生じる、相続税などのお金の問題にフォーカスするのは『【最新版】 磯野家の相続税』(長谷川裕雅/すばる舎)。相続税の仕組みや不動産の評価方法、節税対策を詳しく紹介している。この3冊があれば、いざという時に右往左往することもなくなりそうだ。

「磯野家」の幸福』(おかのきんや/晋遊舎)

 将来の大きなライフイベントに備えながら、毎日を今より少し楽しく幸せに過ごしたい。そんな人には、ぜひ『「磯野家」の幸福』(おかのきんや/晋遊舎)も手にとっていただきたい。『サザエさん』のエピソードを取り上げて、世渡りが楽しくなる方法、人生が怖いものなしになるユーモアなどを紹介。日々遭遇する状況を、上手に楽しく切り抜ける知恵を見出している。

 お金や制度のことは大切だけれど難しくて分からないし、将来のことを考えると不安ばかりが募りがち。そうならないためにも、ぜひ磯野家、フグ田家(と、時々波野家)をお手本にして将来に備えつつ、毎日を今よりも楽しく幸せに過ごすヒントを見つけてみよう。

文=松澤友子