ズボラ女子必見! リケジョの女子モドキ(JSM)が仕事の後に行う「美」の研究

マンガ

公開日:2016/2/25


『人は見た目が100パーセント』(大久保ヒロミ/講談社)1~4巻

 女性という生き物は大変だ。家事に仕事に子育てだけでは終わらない。毎月の生理に毎日の化粧に、無駄毛処理に……と、ケアしなければならないことが山ほどある。しかも最近は「女子力アップ」なんて言葉もよく耳にする。正直、メイクやファッションが好きな女子は楽しいかもしれないが、筆者のように「本とマンガを読むことが最高の娯楽!」というオタク女子にとっては、耳の痛い言葉なのではないだろうか。

 だが、もし簡単に楽しく、美容の知識を身につけられるとすればどうだろう?

 大久保ヒロミ作の『人は見た目が100パーセント』(講談社)は、そんなオシャレが苦手な女子にこそ、おススメしたいアンガである。主人公は、某製紙会社の研究所で、製紙素材の分析に励んでいる優秀な「リケジョ」の3人。城之内(30)、佐藤(25)、前田(40)である(ちなみに前田以外は独身)。

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 日々研究室にこもる彼女たちは、外との接触が少ないため、身なりなど気にしなくてもいい生活。気がつけば、いまどきのメイクやファッションがわからない状態になってしまい「もしかして私たちは女子ではなく、女子モドキ(JSM)なのではないか……」と不安を抱き、就労後に美の特別研究をする時間を設けた。

 彼女たちの研究のテーマは「つけまつげ」「ネイル」「アヒル口」「脱毛」「ブランドバッグ」など幅広い。優秀なリケジョゆえ、毎回試行錯誤しながらも、素晴らしい研究成果を披露してくれるのだが、その過程が実に面白いのである。

 例えば「アヒル口」の研究。これは「おやじ女子、ポッチャリ女子と時代が私を追いかけてきてるわりには彼氏ができない……」と悩む佐藤(25)があともう一押しのモテアイテムとして選んだ研究テーマ。

 3人は、コンシーラーとリップ、グロスを駆使して、見事にアヒル口を完成させる。

 しかし、さりげなく職場の男性にその唇を見せても、なぜかアヒル口と認識すらされず「にんにく卵黄」と「しじみウコン」の話を振られ、身体を労わられて終わっていた。

 世の中はすでにアヒル口の女子だらけで、3人が今さらアヒル口をしたところで、目立つことはなかったのである。そこで彼女たちはネット検索に頼り、「アヒル口はポジティブな印象を与えるのでモテる」という記事を発見する。見た目じゃ太刀打ちできない以上、ポジティブな言葉をたくさん言って、日本一のポジティブアヒル口になろう! と画策するのだが、口から出るのは「マイナス5歳肌!」「1等6億円!」「次男医者!」「遺産相続!」など欲望丸出しの言葉の数々……! その瞬間をうっかり職場の男性に見られてしまい、引かれて終わる……という悲しい末路を迎えていた。

 もちろん本書は面白いだけでなく、美容やファッションの知識も楽しみながら身につけることができる。優秀な研究員である3人が、実際は少しも「付けるタイプの魔法」ではない「つけまつげ」を装着する方法を細かく伝授してくれたり、結婚式で「花嫁蹴散らしてでも男の人の記憶に残りたい」城之内(30)が、彼氏ができるパーティーファッションをウエディングプランナーに習って研究したりする回もある。また、節約主婦でもある前田(40)がテーマを出した「アラフォーのミニスカート」の回は、ファッションだけでなく、「女担当」として生きる意味を考えさせられ、深い読み応えがあった。

 モテたい!本物の「女子」になりたい!でもイマイチやり方がわからない……筆者のような女子モドキの皆様。まずは本書を読んで、女性たちの舞台裏をつぶさに観察することから始めてみてはどうだろうか? 爆笑の渦に巻き込まれながら、いつの間にか「女子力」が身につくかもしれないから。

文=さゆ