『進撃の巨人』、モデルは池袋のネットカフェにいた!?

マンガ

公開日:2011/9/5

謎の巨人たちと人類の壮絶な戦いを描き、累計450万部の大ヒットとなったコミック『進撃の巨人』(講談社)の著者・諫山創さんのインタビューがダ・ヴィンチ6月号に掲載されている。
  
『進撃の巨人』は近年稀に見るインパクトだ。諫山さんの描く描線は、けして洗練されたものではないが、かえってその荒々しさが異様な迫力を生み、思わず心を奪われる。
  
「実は巨人にはモデルがあるんです。以前、池袋のネットカフェで深夜バイトをしていたんですけど、酔っぱらいがよく絡んできたんです。酔っているから会話もできなくて、意思の疎通がとれないのが何より怖かった。しかも、意思はわからないのに知恵があるのが怖い」
  
物語自体はパラレルワールドであっても、描いている作者は同時代の人。今、この時代、この状況で作品を描くことの意味を聞いた。
  
「今起こっていることを前にすると、どんな物語を書いても所詮、物語だな、という感は否めない。ましてや、24歳でたいした人生経験もない自分が描いているものですから」と諌山さん。
  
「震災前に『別冊少年マガジン』の表紙を描かせてもらったんですが、それは破壊衝動みたいな絵だった。震災が起こる前の日本には、停滞した閉塞感が蔓延していて、暴力的なものが足りなかったような気がしたんです。でも、あの日を境に、まったくそれが必要なくなってしまった」
  
くしくも最新刊の4巻の冒頭は、巨人に破られた壁の穴を塞ぐか塞がないかのエピソードが描かれた。
  
「3月11日より以前に津波の対策のために必死に行動できたかというと、自分がやっていない以上は他人にも言えないと思うんです。僕がこれから描きたいのは、実際に目の前にある脅威に対して、勝ち得るとしたらどうするかですね」  
  
震災前/震災後。すべての表現は、この軸から変わっていくのかもしれない。  
  
(ダ・ヴィンチ6月号より)