コミックス3作品が同時発売に! いま一番アツいマンガ家・金田一蓮十郎ってどんな作品を描いているの?

マンガ・アニメ

2016/2/27

 出版不況が叫ばれて久しい昨今。しかし、そんな不況下において、2月12日(金)にコミックス3作品を同時発売した、なんともウハウハなマンガ家がいる。金田一蓮十郎氏だ。

 金田一氏は、今年でデビュー20周年となる、ベテラン作家。とはいえ、これまでメディアに登場することが少なかったため、その人物像は謎に包まれている。そこで、デビュー作から追いかけ続けてきたぼくが、彼女の魅力をとことん解説しようではないか!

ジャングルはいつもハレのちグゥ』(スクウェア・エニックス)

 ここで、「……彼女?」と思った人にまず説明しておくと、金田一氏は、“蓮十郎”なんて大層な名前で活動をしているが、正真正銘の女性である。デビュー作『ジャングルはいつもハレのちグゥ』(スクウェア・エニックス)では、著者近影として写真も公開していた。

 で、彼女の作風について。『ジャングルはいつもハレのちグゥ』は、少年誌っぽいドタバタ系のギャグ作品。ジャングルに住む少年・ハレと謎の少女・グゥが巻き起こすハチャメチャな展開を、ノリの良さで押し通すという力技もかいま見えるマンガだ。しかし、それも当初の話で、ストーリーが進みキャラが立ち始めると、それぞれに抱える闇をテーマにするようになり、物語が一気に膨らんでいく。特に、ハレの母親が「ハレを妊娠した」という理由で勘当されてしまったという過去が明らかになるシーンは、号泣モノ。まさか、ギャグマンガで泣かされるとは……。

ニコイチ』(スクウェア・エニックス)

 また、『ニコイチ』(スクウェア・エニックス)はハレグゥとは打って変わって、現代日本を舞台にしたリアルな作品。ただし、その設定が奇天烈で、主人公・須田真琴は平凡なサラリーマンでありながら、家庭では女装をし「母親として(義理の)息子を育てている」のだ。本作で描かれるのは、血のつながり、母子家庭、同性愛と、非常に重たいものばかりだが、そこに金田一氏持ち前のギャグが加わることで、サラッと読むことができる。

ライアー×ライアー』(講談社)

 また、『ニコイチ』で描いた“二重生活”をテーマにしたのが、『ライアー×ライアー』(講談社)。ひょんなことから、別人のフリをして義理の弟と付き合うことになってしまった主人公・高槻湊。「もういい加減やめよう」と思いつつも、純粋な愛情を向けてくる弟と別れることができず、いつしか関係は複雑になっていくというもの。なかなかタブーなテーマだが、読んでみると、なんてピュアな恋愛マンガだろう、と驚くはず。ふたりの恋路を邪魔する奴は許さん!

ラララ』(スクウェア・エニックス)

ラララ』(スクウェア・エニックス)で描いているのは、人間に無関心な女医と、冴えない男との偽装結婚生活。「就職」と称して専業主夫の座についた桐島士朗と、その「仕事」を斡旋してきた女医・石村亜衣との生活は、一見すると愛がないようで、その実不思議な絆で結ばれていて……。こんな結婚生活もありなのかなと思う反面、家のなかでは常に全裸という変わり者の亜衣と一緒にいるのは、健全な男子からすれば拷問でもある。

ゆうべはお楽しみでしたね』(スクウェア・エニックス)

 金田一氏はゲーム好きでもあり、それを活かしたのが『ゆうべはお楽しみでしたね』(スクウェア・エニックス)だ。本作は、MMORPG『ドラゴンクエストX』をテーマにした作品で、ゲーム内で出会った男女がルームシェアすることになってしまった顛末が描かれている。とはいえ、ゲームを介して恋愛感情が芽生えたふたり、なんかではなく、互いにネカマ・ネナベとして性別を偽っていた者同士が一緒に暮らすことになってしまうという、これまた奇想天外な設定である。

 ちなみに、2月12日(金)に同時発売されたのが、『ライアー×ライアー』『ラララ』『ゆうべはお楽しみでしたね』の最新巻。それぞれの作品が、どのように転がっていくのか非常に楽しみだ!

 いまイチオシのマンガ家・金田一蓮十郎氏。出版不況をものともしない彼女の作品を、ぜひ味わってみてほしい。

文=前田レゴ