ゲイだからって「女の気持ちがわかる」なんて思わないで!夜の新宿二丁目に響く、ゲイたちの赤裸々発言【ゲイの”本”音①】

暮らし

公開日:2016/2/27

 ここ最近、ゲイの著者による、女性への「恋愛指南書」が続々と登場している。カリスマゲイブロガー・ゴマブッ子氏の『“独り身”の呪い――男をドン引きさせてしまうのにはワケがある!』(大和出版)、『脱・ダメ恋愛』(すばる舎)、セレブな既婚オネエ・白鳥JAY子氏の『貴女、またしくじるつもり? いつまでたっても「成就しない」女子たちへ』(幻冬舎)などなど…。やはり、ゲイは性を超越した存在ゆえに、女心も手に取るようにわかるものなのか――。

 そこで今回は、新宿二丁目で、とっても濃ゆい座談会を決行! 本当にゲイは女心がわかるものなのか、その真偽について縦横無尽に喋りまくってみた。

じょん(39):新宿二丁目で店をしながら、コラム等の執筆活動を行い、過去にミュージシャンの経歴を持つ異色ママ。ジムのトレーナーに「男性では驚異的です!」と言わしめる股関節の柔らかさを持つ。

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レン(36):昼間は人助けをメインに仕事を頑張る隠れゲイ。将来の目標は“どっかの誰かと生涯幸せにひっそり過ごすこと”。現在、ゲイの出会い系アプリを駆使してゲイ婚活に本気で取り組む頑張り屋さん。

渋谷アシル(32):本記事のライター。自身も女性向けメディアでコラムを執筆。女性寄りの考え方を持っているとは思いつつも、「ゲイは女心がわかる」という風潮に若干疑問を持っている。

女心どころか、同じゲイの気持ちだってわからない!

アシル:最近、よく女の子から「ゲイの人と友達になりたかったんだよね」って言われるんだよ。「ゲイって、女の気持ちも男の気持ちもわかるじゃない」って。でもさ……、それってどうなんだろう?

レン(36):こないだも飲みながら話してたんだけど、うちらって、ノンケ(※1)の男の気持ちすらわからないじゃない? そしたら、性別が違うノンケの女の気持ちなんて、正直わからないと思うんだけど。それとさ、きっと女の子たちはゲイの中でも“ネコ(※2)”の子に対して、「女心がわかる」ってイメージを抱いてるんだろうけど、ネコだってみんなが女の子っぽいかって言ったら違うからね。男っぽいネコだっているし。

※1:異性愛者の男女のこと
※2:同性間のセックスにおいて、女役をする者

じょん(39):そもそもさ、わたし、ゲイの気持ちだってわかんないからね(笑)。

レン(36):そうだよね。ゲイだろうがノンケだろうが、そもそも他人の気持ちなんてわかんないよね。だから恋愛もうまくいかないんだもん。

アシル:でもさ、一般的な隠れゲイって、普段はノンケを装って生きてるじゃない? で、二丁目に来たらいきなりオネエ言葉使ったりとかさ。そういう二面性みたいなものを持っているから、「男も女も、どちらの性も持っている」ように見えてるのかも。

レン(36):でもさ、結局のところ、ノンケを演じるなんて無理じゃない? だからバレるんだし。うちらがイメージするノンケって、「倖田來未とヤりてー」みたいなことを言ってる男だけど、実際そんな男いないよね(笑)。

じょん(39):あたしたちと真逆のことをやればいいんじゃないかしら。

アシル:それがわかんないから、必要以上に男っぽく振る舞ってるところはあるかも。

男だろうが女だろうが、“好き”という気持ちは一緒

レン(36):結局、ノンケってのが空想の世界ってわけよ。そうなると、女の気持ちなんてさらに想像しづらいものだと思わない? ただ、ひとつだけ言えるとすれば、人を好きになる気持ちは一緒ってこと。男でも女でも、ゲイでもね。恋愛してると、いろんな事件が起こるけど、それって誰もが経験することなんだよね。で、ゲイの場合、そういう体験談をコミカルに表現しながら、女の子の相談に乗ったりできるんだよ。だからみんな、「わたしの気持ちをわかってくれた!」って思うんじゃないかな。

じょん(39):あたしたちって、体は男だけど、性に対するベクトルは女の子と一緒なのよね。だから、女の子たちの考え方に寄せることはできると思うの。ただ、寄せるだけよ?

アシル:ぼくは多分、ふたりよりも女の子寄りな考え方があるんだよね。お店で店員さんを呼ぶときは彼に声を出してもらいたいとか、車道側を歩いてもらいたいとか。女の子になりたいとは思ってないんだけど、役割的な話というか……。

レン(36):それって、性的役割分担だと思うの。あんたはネコだから、彼氏を立てようっていう意識が強いんだよ。

アシル:そうなのかな。まあ、それだとしても、そこは女の子と一緒だからすごく共感できる部分は多いの。だけど、全面的に女子の気持ちがわかるでしょう?っていう風潮には疑問を感じちゃう。それこそ、女の子に対する恋愛指南書なんて、書くの難しいと思うんだよね。

レン(36):この著者の人たちは、女子マインドを持っているっていうことに自負があるんじゃないかしら。自分の分析に自信があるから書けるんだよ。

じょん(39):そうね。おそらく彼らは、女の子の気持ちがなぜわかるのかってことを説明できるのよ。そうじゃなきゃ書けないだろうし、書いちゃいけないわよね。

女の子とゲイの間にこそ、本当の友情が成立する

じょん(39):こないだ“友情”の話になったんだけど、男女間での友情って成立しないものだと思うのよね。ゲイ同士も、そこにセックスが介在しちゃうと成り立たない。そして、男同士も女同士の友情も、「相手に負けたくない」っていう変なプライドが邪魔することが多いの。そう考えると、一番フィットするのって、女の子とゲイなんだよね。性的指向も一緒だし、そこにセックスは介在しないし、なんだって正直に言い合える。そういう意味では、ゲイが女子たちに恋愛をあれこれ言うのは、納得できる部分もあるのよね。

レン(36):確かに、自分の場合、ゲイの中でも仲良くなれるのって圧倒的にネコの子が多いかも。タチ(※3)が相手だと、どうしても男として見ちゃうから。

※3:同性間のセックスにおいて、男役をする者

アシル:ノンケの男女の友情は成立しないってのと一緒だよね。

レン(36):そうそう。そう考えるとさ、ノンケだろうがゲイだろうが、みんな一緒ってことよね。

アシル:若干、乱暴なまとめ方だけど(笑)。

レン(36):つまり、同じ人なんだから、恋愛の仕方だって一緒ってこと。好きとか嫌いとか傷ついたとか裏切られたとか、そんなのみんな同じように経験してるのよ。それをもってアドバイスできるかどうかは、その人次第よね。あとさ、逆に考えてみるってのはどう?

じょん(39):逆ってなによ?

レン(36):世の中的に、「ゲイって女心がわかるんだね」って風潮があるんなら、それを「わかるわけないでしょ」って切り捨てるんじゃなくて、その期待に応えられるように勉強してみるってことよ。

アシル:需要に応えてあげる、と。

レン(36):そう。なぜならね、うちらゲイは、サービス精神が旺盛ですから。求められるなら、応えてあげようじゃないのよ。その方が、人間的にも大きくなれるし、みんなハッピーじゃない。

アシル:そういう考え方もある……のかなぁ(笑)。

 ということで、「これからもっと女心を勉強していこう」という結論に落ち着いた(?)、今回の座談会。女子のみなさん、ぼくらに過度な期待は禁物。だけど、求められるならば、サービスしちゃうかも!?【ゲイの”本”音①】はつづく。

文=渋谷アシル

■取材協力
昭和歌謡すなっく にーぶい
東京都新宿区2-12-16セントフォービルB101A
050-3616-1251
※ノンケのみでの入店禁止