『スカイ・クロラ』の森博嗣が挑む新しい剣豪小説とは?

文芸・カルチャー

2011/9/5

森博嗣の新シリーズいよいよ開幕――。
  
その新作『ヴォイド・シェイパ』(中央公論新社)は、過去の森作品とは一線を画する。意外や意外、剣豪小説なのだ。その誕生秘話がダ・ヴィンチ6月号に掲載されている。
  
主人公のゼンは幼い頃から師・カシュウに預けられ、他の人間や文明社会と接触を持たずに生きてきた。カシュウの死後、遺言に従い初めて山を降り、磨き抜かれた剣の技を頼りに手探りで世の中を渡ろうとするのだ。
  
ゼンはカシュウによって徹底的に技を磨かれた<剣豪>である。常人にない能力をもつという意味では<天才>と呼んでもいいだろう。常人の想像しえない領域に達した人間は、どのようにして自分自身を統御していくのだろうか。
  
「こういう人物を書くことが、創作の醍醐味でもあります。完全に自分とは違う人間になり、その人間の考え方で考えるということは、非常に面白い。作者の気持ちとしては、みんなが見たことがないものを見せてあげたいというのに近いですね」
  
ゼンはさまざまな人と出会うが、積極的に関わろうとしない。
  
「もちろん主人公が関わっていったほうが話は作りやすい。しかし、今回は主人公がいかに自分の頭で考え、他人とかかわらないで通り過ぎるかということを書きたい」
  
自由なゼンという人物のいく末に何が待ち受けているのか、静かに見守っていきたい。
  
(ダ・ヴィンチ6月号今月のBOOKMARK EXより)