綾野剛が演じて話題になった『ピースオブケイク』のマンガ家・ジョージ朝倉最新作『ダンス・ダンス・ダンスール』は、男子バレエと青春がターンする!

マンガ

公開日:2016/3/8

 つま先から指の先まで、洗練されたしなやかな動きで観る者を虜にする“バレエ”。かつて、バレリーナに憧れた女性も多いはず! 女子にとってはピアノに並ぶ定番の習い事でもあります。しかし、現在『ビッグコミックスピリッツ』で連載中の『ダンス・ダンス・ダンスール』(ジョージ朝倉/小学館)は、バレエに魅せられた“少年”が、日本人初の男子バレエの頂点「ダンスール・ノーブル(古典バレエのなかで王子や貴族などの役柄を演じるダンサーのこと)」を目指すという物語。2月12日には、第1巻が発売されました。

 主人公は、幼いころに見た 男性バレエダンサーの演技に魅了されるも、父の急逝により“男らしくない”バレエの道を断念した少年・村尾潤平。時は流れて13歳になった潤平は、アクション映画監督だった父の意を汲み、“男らしい”格闘技・ジークンドーの道場に通っていた。その一方で、男子バレエの大技「バレエ540(カジョール・リヴァルタット)」を独学で練習するなど、バレエへの想いを断ち切れない日々を過ごしていた。そんな彼の前に現れた美少女転校生・五代都は教室で自己流の「540」を披露していた潤平を見て、彼女の母が営むバレエスタジオ「五代バレエスタジオ」にスカウトするが……。

advertisement

 同作の躍動感あふれるバレエシーンはもちろんですが、主人公・潤平の思春期ど真ん中な童貞脳も見どころのひとつ。都が540を跳んだときに見えた、彼女のパンツに気を取られてバレエスタジオまでついて行ってしまったり、都に「パ・パ・ドゥとか踊ってみたいし…!(※1)」と言われれば「コイツっ… 俺のこと好きだろっ…!!!」と、心のなかで盛り上がってしまうなど、まさに思春期男子。めでたく、精通も来ているそうです。
(※1)パ・パ・ドゥ:男女ペアで踊ること

 また、幼少の頃ころ 「男なのにバレエなんて変」と友達にバカにされた過去や、アクション監督だった父の存在など、かっこよさや男らしさに対する憧れやコンプレックスを抱いているようで、いまだバレエと正面から向き合えていない潤平の内面の変化も気になるところ。

 そして、ヒロインの五代都は学校の合唱コンクールでは伴奏を担当。幼いころからバレエを嗜み、愛らしい笑顔の目元にはミステリアスなほくろがあるという、最強美少女。思春期男子と美少女転校生、二人の恋の行方も見逃せません。これまで『ハートを打ちのめせ!』(祥伝社)や『溺れるナイフ』(講談社)など、10代の少年少女が醸しだす、独特な危うさを描いてきた作者ならではの中学生像が余すところなく詰まっているので、バレエの知識がなくとも十分楽しめる作品なのです。

 男子中学生×バレエ、異色の青春マンガ、ご一読あれ!

 

文=不動明子(清談社)