万城目学が新作で取り戻したかったものとは?

文芸・カルチャー

2011/9/5

デビュー作『鴨川ホルモー』で京都、『鹿男あをによし』で奈良、そして映画版が5月28日に公開される『プリンセス・トヨトミ』では大阪と、関西の都市を舞台にした小説を描いてきた万城目学さん。
  
新作『偉大なる、しゅららぼん』では、琵琶湖を舞台に、著者の十八番ともいえる「代々受け継いだ妙な力」がもたらす荒唐無稽なストーリーが展開される。
  
「琵琶湖の湖畔に敵対するふたつの勢力が住んでいて、代々へんな力を持っている。これって、実は『鴨川ホルモー』が出た当時、デビュー1年目には浮かんでいた話なんです」
  
ただ、今回は書く前から自分に課していたことがあったという。
  
「ここらで、初期の頃のやんちゃな男の子的なものを取り戻したくなったんです。『鴨川ホルモー』を書いたのはデビュー前だから、下手だからこそできたことが多々あるとはわかっているけど、ああいう乱暴で荒々しい感じを今回は意識的に戻そうというのがありました」
  
そうして完成した作品は、原稿用紙850枚に渡る自身最長編となった。そして、この作品は、ジュブナイルを読んできた読者の琴線に触れる要素が満載だ。
  
「いわゆるサイキック学園小説もの。理科実験室を使うとか屋上で地べたに座って何かやるとかキャッチボールをするとか、僕の中で勝手に<サイキック学園青春ものはこれで構成されている>という要素をあざといくらいに全部入れました」
  
6月からは『週刊文春』で連載がスタート。戦国末期を舞台にした初めての時代小説となるだけに、こちらも注目したい。
  
(ダ・ヴィンチ6月号「今月のBOOKMARK EX」より)