人気女優・モデル 菊池亜希子さんの原点は絵本にあった! 子ども時代に出会った絵本にまつわる思い出話

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16

毎日大人として忙しく過ごしていると、どうも、自分に子ども時代があったなんてことは、夢のように思えてしまいます。ですが、誰にとっても、子どもの頃の記憶は、大切なもの。そんな思い出を昨日のことのように話せる人は、大人になっても、キラキラと輝くことができる人なのかもしれません。

絵本のはなし』(白泉社)は、女優でモデルの菊池亜希子さんが子どもの頃からお気に入りの18編の絵本にまつわる思い出をたっぷりと語った作品です。菊池さんはどんな幼少時代を送っていたのでしょうか。彼女は大切にしている絵本をもとに、子ども時代のことを振り返ります。それぞれの絵本の世界観にマッチした菊池さんの写真とコラム、そして、その後1ページに大きくその絵本の表紙と簡単なあらすじという構成はページをめくるだけで子どもの頃に戻ったような気にさせられてしまいます。ほかにも、菊池さんおすすめの絵本や絵本屋さん、美術館なども紹介。菊池さんの大切なもので埋め尽くされたこの作品は、どこか愛おしくてくすぐったい気持ちにさせられる、癒しの1冊なのです。

不完全で人間くさいサンタの姿に祖母の姿を重ねて読んだという『さむがりやのサンタ』(レイモンド・ブリッグズ:作、すがはらひろくに:訳/福音館書店)。押入れの中で遊ぶことに夢中になったことを思い出させてくれたという『おしいれのぼうけん』(古田足日・田畑精一:作/童心社)。姉と一緒に買いものに出かけたこと、強がりだった姉を思い出させてくれるという『はじめてのおつかい』(筒井頼子:作、林明子:絵/福音館書店)。「はなくそを食べたことがあるか、ないか」という飾らない書き出しから“りっちゃん”との思い出を語る、“幼少期のバイブル”『いやいやえん』(中川季枝子:作、大村百合子:絵/福音館書店)…… 。

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この本の中で菊池さんは、「大好きだった絵本を読み返していたら、あの頃見ていた景色が鮮やかに蘇ってきた」と語っていますが、それだけ菊池さんの幼少時代に絵本が密接に関わっていたということでしょう。幼い頃、絵本を抱え、布団にもぐりこむと、菊池さんのお母さんは、物語をアレンジしては読み聞かせてくれたそうです。二段ベッドの上から姉も顔を出して耳を傾け、ものすごく壮大なスケールの話になったり、ヘンテコな話になったりするのを夢中で聞いたと言います。おわりまでたどりつくことなく、寝てしまう母親の姿に、自分が母親を寝かしつけているような気持ちになったという菊池さん。そうやって読み聞かせられた本、大切にしてきた本たちが、彼女に与えた影響は計り知れません。

この作品には、ナチュラルファッション&カルチャーのアイコンとして多くの女性から憧れを集めている菊池さん自身の秘密がギュッとつまっています。「私の中にある、いろんなカタチ の感情の種は、大切な絵本の中に、ぜんぶ 転がっていた」。彼女を今、こんなにも輝かせている源は何なのか。この本の中で、彼女が輝く源がキラキラと瞬いています。

「ヘンテコで、くいしんぼうで、ワガママで、
子どもくさくて、泣き虫で、あまのじゃく。
この絵本の山は、もはや私そのものだ。」

巻末には、菊池さん初の描きおろし絵本「ぼくのだいじ」も収録。愛猫をモデルにしたかわいい愛のお話です。 かつて子どもだったみなさん、菊池さんのこの本とともに、久々になつかしの絵本を読み返す癒しのひとときを送ってみてはいかがでしょうか。ふと立ち止まったとき、もう一度歩き出すためのこたえは、だいたいが絵本に書かれているものです。

文=アサトーミナミ

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