シェイクスピア没後400年! 人間の本質が見えてくる名セリフが大集結した一冊

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16


『シェイクスピア 人生の名言』(佐久間 康夫:著・監修/ベストセラーズ)

2016年で没後400年をむかえたウィリアム・シェイクスピア。いままでシェイクスピア作品を観たことがない人でも「ロミオ、ロミオ、なぜあなたはロミオなの?」という言い回しが有名な『ロミオとジュリエット』というタイトルは知っているという人もいるだろう。シェイクスピアなんて観たこともないし、タイトルも知らないけれど「ブルータスよ、おまえもか?」といったセリフだけは聞いたことがあるという人もいるかもしれない。いまもなお、強く語り継がれる彼の作品はロマンチックでときに残酷だが、人間の本質をつくような珠玉の名セリフが数多く詰まっている。

今回紹介する『シェイクスピア 人生の名言』(佐久間康夫:著・監修/ベストセラーズ)は、シェイクスピア作品の中から名ゼリフを厳選、シェイクスピアになじみのない人たちにもわかるように作品のあらすじやキャラクターの相関をしっかり解説してくれている一冊だ。これから、その一部を紹介していこう。

生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ『ハムレット』(第三幕第一場)

シェイクスピア四大悲劇『ハムレット』に登場するセリフのひとつ。『ハムレット』は叔父に父親を殺された主人公・王子ハムレットの復讐劇であるが、劇の焦点となるのは、なかなか復讐に踏み切れず苦悩するハムレットの姿だ。熱情のまま復讐を成し遂げるべきか、理性をもってその感情を抑えてくべきか、自分がどう生きていくのが正しいのか思い悩み、心を摩耗させていくハムレット。そんな彼の「生きるべきか、死ぬべきか」というセリフは、たんに生きるか死ぬかという意味ではない。現状に甘んじて生きるのか、新しい世界に挑戦するほうがいいか。生き方を問う言葉だ。

自分を癒す力は、しばしば自分のうちに存在するもの、
それを天の配剤のせいにすることもあるけれど『終わりよければすべてよし』(第一幕第一場)

喜劇『終わりよければすべてよし』での、主人公ヘレナの独白。ヘレナは恋慕う伯爵と結ばれるために、果断に行動し、最後には伯爵の愛を手に入れる。この独白は、望みを叶えるのも、あきらめるのも自分次第という意味だ。ヘレナの人生には、悲喜こもごもいろいろなことがあるが、どれもこれもふくめて『終わりよければすべてよし』。この戯曲のタイトルもまた名言だ。

時間が経つにつれ我々は成熟し、時間が経つにつれ我々は腐乱していく『お気に召すまま』(第二幕第七場)

これは喜劇『お気に召すまま』の劇中で、皮肉屋の貴族ジェイクイーズが感心した、宮廷のおかかえ道化師タッチストーンのセリフだ。私たちは年齢とともに成長すると同時に、老化している。それを成熟とするか、腐乱とするか、いままでの人生と現在の到達点を省みて考えさせられる言葉だ。

劇作家ウィリアム・シェイクスピアが亡くなって400年がたったいまでも、彼の世界は色あせることなく、いまも世界のあちこちで上演され続けている。舞台で上演されることを前提として書かれたシェイクスピア作品のセリフは、登場人物たちの本質や人生を表す言葉であるから、心に響く。シェイクスピア初心者も愛好家も、喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、情緒に富んだ名言の数々を本書でぜひ堪能してもらいたい。

文=ナツメ