さまぁ~ずにも学んだ!「モヤさま」が転機となった狩野恵里アナの社会人としての壁の乗り越え方【インタビュー】

テレビ

公開日:2016/3/20

 テレビ東京の人気バラエティ番組「モヤモヤさまぁ~ず2」で、さまぁ〜ずのフリに全力でこたえる姿が印象的な狩野恵里アナ。さきごろ出版した初エッセイ『半熟アナ』(KADOKAWA)に綴られているのは、意外にも仕事で壁にぶつかり、自分の居場所を求めて悪戦苦闘した悩める社会人の等身大の姿。テレビの顔とはまた違う、一人の働くアラサー女性としての彼女の素顔は、同世代、そして若者たちにも、きっと自分らしく生きるためのヒントになるだろう。本で明かされた狩野流「壁の乗り越え方」について、あらためてお話を伺った。

読者へのアドバイスになっているとは思わなかった

――本の中で「伝える」ことにこだわりたいとありました。今回、いつもとは違う「書く」ことで思いを伝えたわけですが、いかがでしたか?

狩野アナ「正直、こんなに大変とは…と。半年かけてなんとか書き終えましたが、いまだに読者のみなさんが読みたいことが書けたのかわからなくて…。私の昔話なんて読みたい人がいるのかなぁと考えてしまうと、筆が進まず、葛藤がありましたね。実ははじめは自己啓発本の予定でして、でもそもそも私の自己啓発本って何? という話になって、エッセイに落ち着きました」

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――そうだったんですね。エッセイと思って読み始めたら、「自分の(社会での)居場所に迷っている人、探している人」に向けたいいアドバイスが詰まっているので驚きました。

狩野アナ「うわー本当ですか? このところTwitterで“参考にしてみます”という感想をいただくんです。全然意図していなかったのに、ちょっとしたアドバイスになっているのに非常に驚いているし、ものすごくうれしくて。何を書けばいいのか最後まで迷ったので、この本がわずかでもいい影響を及ぼしているのだとしたら、すごく幸せです。」

――というわけで今日は、「どんなふうに壁をのりこえるか」いうことについて、あらためて狩野アナのセオリーを教えてもらえればと思います!

狩野アナ「はい! と言いながらも、ひとつにしぼるのは難しなぁ。」

――いや、どんどん出してOKです!

狩野アナ「はい! わかりました!」

狩野流・壁を乗り越えるためのセオリー

――まずひとつめのセオリーからお願いします。

狩野アナ「はい。まずは、間違いをおそれないです。怖いんですよね、間違えるのって。反省してもまた同じ間違いをして、そんな自分にイラついて…という負のスパイラルに陥ることがすごく多くて。これだという専門分野もなく、秀でた容姿やキャラクターがあるわけでもなく、周りと比較してついつい守りがちになっていったんです。そういう中で先輩たちから言われたのが、“間違いをおそれていては何かを得る事はできない”“自分が今、何がわからなくて、どういう状況で困っているかというのを先輩に伝えるのも新人の役目”ということでした。大橋未歩アナも“生放送は「守る」と楽。でも、それなら誰でもできる。”とおっしゃっていて、すごく共感しました。考えてみれば小さい頃から人と違うことが好きで無難に生きることが嫌いだったはずなのに、いざ社会に出たらついつい守りに入っていました。それで、先輩たちの言葉をきっかけに、自分に“喝”をいれました。」

――入社当時は、先輩になかなか聞けなかったそうですね。

狩野アナ「はい…。やっぱり怖いんですよね、“こんなこともわからないのか”って思われることが。でも、ちゃんと質問するのは大事なことです。逃げるのは楽で、“明日聞けばいいや”って、ずるずるしてしまう。私の場合、ニガテな人を前にするとすぐ顔に出てしまうところがあるので、ニュートラルでいるのも大変だったりして…。でも結局、そういうのはみんな“自分との闘い”なんですよね。たぶん人生は、ほんのちょっと自分を変えるだけで見え方が違ってくる気がします。」

――質問もできなくて、入社してしばらくの間は孤独と戦ったと本にありました。先輩も「どう声をかけようか」と、迷っていたのかもしれませんね。

狩野アナ「そうだと思います。新人の頃は勢いだけで“先輩お願いします!”って言えたんですが、少し慣れてきた頃から怖くなってしまって。1年目は「新人アナウンサー」というだけで仕事がもらえても、2年目になったらそうはいきません。自分の限界もわかってきますから迷いに迷って、無理にカラ元気を出していました。先輩との飲み会でも、いきなり感情があふれて号泣してしまったり、かなり厄介者だったと思います…。」

――その頃の自分にどう言ってあげたいですか?

狩野アナ無理するなですね。カラ元気もそうですが、全然できないことも“こんな感じですよね”って無理して知ったかぶりで背伸びしていいんです。素直に“教えてください”の一言さえ言えていれば、先輩は“仕方ないな”って教えてくれていたでしょう。“かわいがられる後輩”になりたかったですね。」

――それを阻んだのは「プライド」だったのでしょうか…?

狩野アナ「…たぶんそうですね。自分ではプライドがないほうだと思っていたんですが、“アナウンサーたるものこうでなきゃいけない”というのが、自分の中にあったのだと思います。その理想像にがんじがらめになって、必要以上に大きく見せようとして、先輩たちからのアドバイスに対しても“わかりました、わかりました、もう大丈夫です!”みたいに流してしまって。だから、こうあるべきと思いすぎないのはとても大事だと実感しています。実は今でも抜けなくて、“周りはこれを求めているだろう”とか、どこか固定観念のように思いこんでいるところがあって…。」

――それは、相手に対する過度な気配りなんでしょうか?

狩野アナ「どうなんでしょうね。“自分ならそれができる”とどこかで思っているのかもしれません。でも、結局、自分の限界を知ったときに崩壊したんですけどね。相談した先輩から“後輩にそこまで求めていない。そんなに簡単にできると思っていたらそれは仕事を舐めている”と言われて、こちらもすーっと楽になって、ちょっとずつ甘えられるようになりました。」

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