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若手社員必見! グダグダ会議を変える“ファシリテーション”テクニック


『世界で一番やさしい会議の教科書』(榊巻 亮/日経BP社)

 「三万時間」。これは一般的な会社員が生涯で会議に費やす時間だ。有意義なものであればいいが、「何も決まらない、何も伝わらない、効果がわからない」のグダグタ会議だったら人生の無駄遣いだ。

世界で一番やさしい会議の教科書』(榊巻 亮/日経BP社)は、企業コンサルタントを営む著者が、会議のコツをわかりやすく解説している。著者が実際に遭遇した案件をベースに、入社2年目の女子社員がグダグダ会議を改善していく創作ストーリー仕立て。誰でも始められる簡単な工夫で、憂鬱な会議がスピーディに変わるヒントがつまっている。

■ファシリテーターのすゝめ

 鈴川 葵はIT企業「日本ネットワークパートナーズ」の保守部に所属する入社2年目の女性社員。期待にあふれて初参加した定例会は、上司が言いたいことを一方的に喋るだけで何も決まらないグダグダ会議だった。帰宅した葵が、いかに会議が退屈だったかを両親に愚痴ると、企業コンサルタントをしている父親がこう返す。

「ははは。典型的なダメ会議だね。こういうのはね、“ファシリテーション”する人がいれば劇的に良くなるんだよ」

“ファシリテーション”とは、議論を容易にする、促進する技術だ。会議をまとめる司会役である。父親のアドバイスを受けて、葵はこっそりと会議を改善する“隠れファシリテーター”として動き始める。

 しかし下っ端の女子社員がいきなり上司や先輩を差し置いて会議を仕切るのはハードルが高い。

 最初に葵は、会議の終わりに決定事項を確認するということを始めた。慣れない若手が「ちょっと確認してもよろしいですか?」と尋ねるだけなら難しくない。

 会議を聞き流していた参加者も、“誰が”、“いつまでに”、“何をするか”の認識が合うようになった。

 次に、会議の冒頭で、どうなったら会議終了となるのか、会議時間をいつまで予定しているのかを質問するようにした。“終了条件”と“時間配分”の確認だ。

 つまり「対応方法と担当者を決めたら会議終了」、「資料の黙読に5分。対応項目の選定に15分。担当者を決めるのに35分……」といった具合だ。

 すると会議から脱線するような雑談や意見が少なくなり、時間通りに終わるようになった。

 議論のまとめや時間配分など、当然のようにも思えるが、一流企業でもこうした基本が守られている会議は多くないというから呆れてしまう。自分の会社はどうだったかと、心当たりがある方もいるのではないだろうか。

 本書で紹介されているのは、葵のような若手社員でも実践しやすいテクニックが中心だ。

 例えば、会議室に定番のホワイトボードも使いこなせているだろうか。

 若手社員は、会議では意見を求められない代わりに、書記や記録係を任されやすいもの。そんな時に役に立つのが、ホワイトボードを使った会議の整理術“スクライブ”だ。

 “スクライブ”では、参加者の発言を書く“意見”、質問や議題を「問」として挙げる“論点”、決まったこと、やるべきことを明記する“決定事項”の3項目を意識する。

 必要最低限の情報を抜き出すことで、提案や問題が一目でわかるのが“スクライブ”の効果だ。ホワイトボードがなければ、大きめのサイズのノートやコピー用紙でも構わない。たったこれだけでも参加者がバラバラにメモを取る手間を省き、議論に集中できるようになる。

 会議の準備をする段階でも、グダグダ会議を防ぐために気をつけるべき注意点がいくつもある。

 ひとつ挙げると、不要な参加者は呼ばないことだ。人数が多いとまとまる意見もまとまらない。会議にいないと困る人以外は事後報告でもいいはずだ。こうした会議の“Prep(事前準備)”についても具体例を挙げながら詳しくレクチャーしている。

 そもそも何故、会議がグダグダになるのか。

 葵の父親は語る。日本では会議では偉い人が仕切るものという考え方が根強い。上司の手際が悪くても部下は指摘しにくいから、いつの間にかそれが当たり前になって、部下が偉くなるとグダグダが継承されてしまう。

「偉い人は自分の会議がグダグダなんて思いもよらない。なぜなら、生まれてから一度もイケてる会議を見たことがないんだから」

 ズバリその通りだ。この父親から学ぶビジネス哲学も多い。

 新年度で鈴川 葵のように入社2年目を迎えた方や、新しく別の部署に配属された若手社員もいるだろう。仕事に慣れてきたら次に持ち上がるのが、人間関係や職場環境の悩みだ。自分は若手だから仕方がないと、そうした不満やストレスをため込んではいないだろうか。

 上司や同僚と円滑に仕事を進めるため、快適な労働環境を築くため、ひいては自身のステップアップのため、“ファシリテーション”がきっと悩み苦しむアナタの味方になるに違いない。

文=愛咲優詩



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