『涼宮ハルヒの追想』は、失い、さまよう、感動ゲーム

マンガ

公開日:2011/9/5

2003年に刊行がスタートした『涼宮ハルヒ』シリーズ。4年ぶりの新作となる『涼宮ハルヒの驚愕』に合わせて、新作ゲーム『涼宮ハルヒの追想』(バンダイナムコゲームス)が発売されている。
  
プロデューサーの二見鷹介氏は、アシスタントプロデューサーとして2008年に発売された『涼宮ハルヒの戸惑』のゲーム化に携わり、ライトノベルのゲーム企画を積極的に行っている。また、元大手スーパー精肉部門という異色の経歴を持つ。
  
  二見氏は、作品についてこう語る。 「難解な要素がふんだんに盛り込まれた物語で、いわゆるキャラ萌えエンタメとは一線を画す作品だと思っています。もちろんキャラクターが好きというだけでも充分楽しめるのですが、SFの素養や元ネタになった作品の知識があれば、それ以上に深くのめり込めるところが何よりの魅力ですね」
  
新作『涼宮ハルヒの追想』のジャンル名は「ワンデルングアドベンチャー」。 これは、登山用語のリング・ワンデルング(方向感覚を失って同じ場所を何度も彷徨い歩く現象)に由来する。ベースになっているのは映画『涼宮ハルヒの消失』に描かれた改変された世界だ。
  
「学園祭が行われる48時間の中を何度も行き来することで、主人公キョンが時間を本来の形に修復していくことが目的です。いうまでもなくこの構造は映画と同じ。ハルヒをはじめとする主要登場人物はごく普通の人間で、誰も彼のことを知らない世界なんですね。映画を観た人ならより楽しめますが、知らなくても“if”の世界を堪能することができるでしょう」(二見氏)
  
プレイヤーは、過去と未来から隔絶された48時間を彷徨する。「この作品をやり尽くすとアドベンチャーゲームのスキルが格段に向上するという効能があるんですよ」と語る二見氏は、「正直にいうと今回は自分の欲しいものを作ったという感覚」とのこと。
  
その結果は、「作った本人がプレイしても、いちプレイヤーとして感動できるほど」だという。
  
(ダ・ヴィンチ7月号 ゲームダ・ヴィンチより)