“円満離婚弁護士”が教える離婚問題を長期戦にしないためのポイント

恋愛・結婚

公開日:2016/4/7


『こじらせない離婚―――「この結婚もうムリ」と思ったら読む本』(原口未緒/ダイヤモンド社)

 日本では、結婚したカップル3組のうち1組が離婚するという数字が出ているらしい。性格の不一致や経済的な問題など、離婚の理由は夫婦の数だけあるだろうが、できるだけ速やかかつ、穏便に決着をつけたいというのが多くの人の願いだろう。

 しかし、現実には慰謝料や親権、財産分与についてなど、多くの課題が浮上してくる。これらのややこしい問題をこじらせずに、解決するにはどうすればいいのか?

こじらせない離婚―――「この結婚もうムリ」と思ったら読む本』(原口未緒/ダイヤモンド社)が、そのすべての疑問を解消してくれる。泥沼の争いを次々着地させてきた「円満離婚弁護士」の著者による究極の離婚マニュアル本なのだ。

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 原口弁護士のもとを訪れた4人のクライアントたちが、円満離婚に至るまでを追ったストーリー。読み進んでいくうちに離婚に関するアレコレがわかってくる(なお、本書は女性側の視点で描かれているため、完全女性向きの本)。

 第1章は「離婚したい。でも切り出せない」。第2章は「相手から離婚を切りだされた」。第3章は「相手が離婚に応じてくれない」。そして第4章は「DV」。

 個人的に、最も熱くなったのは第2章だった。浮気相手に子供ができてしまったため、離婚をしたいと言い出した旦那。憤慨した妻が、原口弁護士の元にやってきて…という始まり。思わず、「ありえない!慰謝料!」と叫んでしまうような事案であり、もちろん妻も「できるだけ相手を困らせてやるにはどうすべきか」という相談を持ちかける。ところが、原口弁護士は「それだとうまくいかない」とバッサリ。一体なぜ!?

 実は原口弁護士、自信も過去3回の離婚歴がある、離婚のスペシャリスト。さらに実の両親も10年にも及ぶドロ沼離婚を繰り広げたといい、その説得力といったらない。

 そんな原口弁護士が、離婚において最も重要だと語るのは「心の整理」。法律の重要性は1割と言い切るため、本書には法律用語はほとんど出てこない。

 原口弁護士によると、相手を不幸にさせたいがための離婚は、たとえ多額の慰謝料を手に入れてもその人を幸せにしないのだという。そればかりではなく、離婚の決着を長引かせるだけ、自分の要求が通りにくくなる可能性すらある。そこで、このパターンでの「こじらせないためのポイント」はコチラ。

・相手から切りだされた場合は、3ヵ月を目安に交渉を済ませる
・慰謝料は支度金と考え、新しい人生をスタートするのに必要なお金を試算する
・相手に非がある場合も、100パーセント相手だけが悪いとは考えない

 離婚に応じず相手を困らせたい、慰謝料はびた一文負けない、世間的にも抹殺したい…という思いとは真逆。しかし、自分の新たな人生を幸せに過ごすためには、これが必須なのだという。

 と言いつつ、「どうしても憂さ晴らしがしたい!」という人のために、その方法をこっそり教えてくれるのもこの本の面白いところ。もちろん戦争になる覚悟があるのなら…という注釈つきなので、オススメはしていない。詳しいやり方が気になる方は、ぜひ本書を読んでいただきたい。

 ちなみにこの本、恋愛で悩んでいる人にもオススメの一冊。男と女の別れについて現実的な目線で書かれているため、別れたいけど別れられない、恋人にフラれたけど納得いかない…という人が読むと、ちょっと冷静になれると思う。

 離婚問題で、今まさに心がグチャグチャだというアナタ、どうか冷静に。円満離婚のヒントは、この本にある!

文=中村未来(清談社)