糸井重里が共感する 「以前から親近感を覚えていた」

文芸・カルチャー

2011/9/5

華美ではなく、絢爛豪華とも違う。しかし、そこにあるのは圧倒的な存在感――『mina perhonen』(ミナ ペルホネン)とはそんなブランドだ。 1995年、皆川明氏によって立ち上げられたmina perhonen(※当事は「ミナ」)は、年々ファンの数を増やしてきた。
  
「最初の数年間は苦労の連続でしたが、100年続くブランドを作りたいと思っている私たちにとって、その数年はとても短い時間であったとも言えます」と、皆川氏は話す。
  
一般的に特定のブランドのファン(=顧客)は熱心な信奉者であることが少なくないが、mina perhonenの場合、皆川氏のよき理解者、あるいは賛同者といった方が正しい。
  
皆川氏は、ごく短いサイクルで塗り替えられていくファッション業界のあり方に一石を投じた人物として知られている。しかし、彼自身は「ネガティブな意味でなく、『なぜこうなっているんだろう?』と考えるところからすべてが始まった」という。また、「服は既製品であっても、人の手によって作られている要素が大きい」と力説する。大量生産によって作られる洋服には、人の姿が見えない。だからこそ大量に消費されるのが宿命だ。 mina perhonenの服は、デザインする皆川氏だけでなく、縫製を担当する工場の職人の姿を意識させてくれる。
  
mina perhonenとは何か?――そのすべてを記録した作品集にしてエッセイ集の『mina perhonen?』(ビー・エヌ・エヌ新社)が、7月号「この本にひとめ惚れ」の大賞に選ばれた。選者のひとり、糸井重里さんは「(皆川氏は)社会、時代、メディアなどをトータルに考え、なおかつ自分のやりたいことをやる。立場としてはデザイナーなんだろうけど、彼の活動は今まで見たことのないスタイルだ。仕事の進め方にうちの事務所との共通点がある気がして、以前から親近感を覚えていた」と語っている。
  
顧客が「いつか娘に着せたい」と願うような服がいかにして作られているのか。ファストファッション全盛の時代に、あえてこのスタイルを貫く理由とは何か? 
  
皆川氏はこう語る。「洋服に限らず、あらゆるものが大量生産、大量消費される現状の中で、一度立ち止まってじっくり考える時代に来たのではないか。そんなことも思いながらこの本を作りました」
  
(ダ・ヴィンチ7月号 この本にひとめ惚れより)