「夢」や「希望」はもうたくさんだ! ネガティブな言葉だけを収録した自己啓発本『絶望手帖』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/15

 ちまたに溢れる、ポジティブ系の自己啓発書に傷ついてきたすべてのひとたちに贈る、今という時代を生き抜くためのバイブル『絶望手帖』が2016年4月1日(金)に発売された。

歴史上の偉人から現代の有名人、ツイッター上の一般人まで多くの人々の“絶望”にまつわる言葉が集められた一冊だ。

青春時代は男女交際を厳しく制限され、年頃になると結婚・出産ができないことを責められる。私は家畜か。まだむ(ライター)

「眼には眼を」の論理は、いずれ全世界の人を盲目にする。ガンジー(宗教家・政治指導家)

人間を動かすのは2つの「てこ」だけだ。恐怖と私欲である。ナポレオン(軍人・政治家)

私たちは、子どもの頃から「夢」や「希望」の大切さを繰り返し教えられてきた。明るい謳い文句が溢れ、自己啓発本などでは成功した人の言葉ばかりが注目されている一方で、苦しんでいる人のリアルな声を聞く機会はほとんどない。自分の弱さをさらけ出すことが難しい時代だからこそ、本書の発案者・家入一馬は、あえてネガティブな言葉を集めたいと考えた。

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ひとは泣きながら現世に生まれ落ちる。シェイクスピア(劇作家・詩人)

人生なんてものは宴の席と同じで、適当にのどをうるおしたら、飲み過ぎもしないうちに立ち去るのが一番よろしい。アリストテレス(哲学者)

わが身の不幸を簡単に嘆くな。堀江貴文(実業家)

同書では、「人間関係」「仕事」「恋愛」「空虚」「幸福」「社会」「業」「人生」「絶望」の9つのテーマに分けて絶望名言を紹介。夏目漱石、小林多喜二、カフカ、ドストエフスキー、手塚治虫、辛酸なめこなど多岐にわたる人々の名言が収録されており、各名言をより深く味わうために、著者の人物像や名言の背景などについて簡単な解説やコラムも同時に読むことが出来る。

絶望とは辛いものだ。しかし、まやかしの希望は、ときに絶望以上に人間を傷つける。本当の意味でポジティブに生きるためには、絶望を知り、絶望と向き合うべきなのではないだろうか。きれいごとではない、奥深い絶望の世界を堪能することが出来るだろう。

■『絶望手帖
編集:絶望名言委員会
イラスト:死後くん
価格:1,300円(+税)
発売日:2016年4月1日(金)
出版社:青幻舎

発案:家入一真(いえいり・かずま)
起業家。1978年生まれ。福岡県出身。中学2年でいじめをきっかけに登校拒否になり、高校に進学するも中退。本格的な引きこもり生活を送る。その後、新聞奨学生、会社勤務を経て株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ株式会社)を創業。上京し、JASDAQ市場へ当時最年少で上場する。退任後も積極的に活動を行っており、2014年には、東京都都知事選挙に出馬。2015年、株式会社キメラを設立し代表取締役に就任。

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