除霊=気持ちいい!? 霊が見える主人公と特殊清掃屋の、ホラーブロマンス!

アニメ・マンガ

2016/4/7


『さんかく窓の外側は夜』(ヤマシタトモコ/リブレ出版)
『さんかく窓の外側は夜』(ヤマシタトモコ/リブレ出版)現在3巻まで発売中!

 霊感がある、というのは、どういう感覚なのだろうか? 全く信じていないわけではないが、霊感ゼロの筆者には想像もつかない。しかし、本人も見たくて見ているわけではないのに、周囲に気味悪がられたり、好奇の目で見られたり、もしくは誰にも言えずに抱え込んだり、何かと苦労も多いのだろう。『さんかく窓の外側は夜』(ヤマシタトモコ/リブレ出版)の主人公「三角康介」も、そんな霊感を持つ人間の1人だ。

 三角は近眼だが、霊だけは裸眼でもはっきりと見える。彼は、“見る力”がとても強いのだ。その力を周囲に隠して書店員として働いていた三角は、ある日、除霊を生業としている男「冷川理人」にその体質を見初められる。そこから、冷川に言われるがままに除霊に付き合わされることとなった――。

 除霊の仕方は至ってシンプル。冷川が三角の中に手を入れ、霊をぶん投げる。どうやら、三角の魂的なものに直接触れてそれをブースターにしてぶん投げると、冷川は体力も時間も大幅に節約できるようなのだ。さらにこの除霊、2人ですると、慣れないと気絶してしまう程に気持ちがいい行為なのだそう。冷川と三角の相性は特に抜群に良いらしい。

 普通の人間として生きたい、怖い、と嫌がる三角を、「私といれば怖くなくなりますよ」「いくらもらえるのか興味ないですか?」、「気持ちいいはず」と誘惑し、自分のものにしようとする冷川。仕舞いには、三角に何やら呪いをかけてまで縛ろうとする。冷川の三角への執着は、少々異常とも思える程。

 しかし、それは物語の一部に過ぎない。女子高生で呪い屋の「非浦英莉可」とその家族、占い師の「迎」など、能力を持つ者が他にも存在し、それぞれに生活があり、ドラマがある。そして、ただ除霊をするのではなく、そうした生きた人間同士の思惑が交錯し合っているところも、本書の魅力といえるだろう。

 非浦や迎、その周辺の人間たちが今後どのように関わってくるのか。時折闇を覗かせる冷川はいったい何を考えているのか。とにかく気になる。

 この『さんかく窓の外側は夜』は、カテゴリー的にはBL漫画ではないと思われるが、冷川の執着や除霊方法などがどことなくBLっぽさをはらんでいて、BL好きもそうでない人もどちらも楽しめそうだ。『呪怨』や『魔女の宅急便』で有名な映画監督の清水祟氏も、「俺はBLってやつが苦手ですが、ヤマシタトモコ氏の繊細なタッチによる性戯(霊戯)に酔い痴れてしまいました」と単行本の帯で述べている。

 「日常の中の非日常に触れてみたい」「不気味な霊現象にゾッとしたい」「気持ちのいい除霊って何!?」という人は、男女問わずぜひ本書を読んでみてほしい。

文=月乃雫