人気コミック『田中くんはいつもけだるげ』が4月からアニメ放送開始! いつもけだるげな少年の日常がこんなに面白いなんて!!

マンガ

公開日:2016/4/8


『田中くんはいつもけだるげ』(ウダノゾミ/スクウェア・エニックス)

 「俺、別に自分の人生の中でも主人公とかやりたくない」

 本作の主人公・田中は高校1年生のごく平凡な男子生徒。ただ人と大きく違うところは「ダラダラすることに命をかけている」ことだ。基本的に動かない。掃除の時も机につっぷしたままだし、ペットボトルの蓋を開けて飲むのも面倒。ジャージを脱ぐのもおっくう。

「そんな主人公で、そのマンガ大丈夫か!?」とツッコミを入れたくなるが、これが面白いから不思議だ。ひとえに、「ダラダラしたいがために、意外な行動力を発揮する」ことから物語が展開するので、読者は「けだるげ」な気持ちではなく、むしろ「田中のすさまじい行動力」に衝撃を受け、次へ次へとページをめくってしまうのだろう。

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 はたまた、「たなけだ」(『田中くんはいつもけだるげ』の略)の面白さを支えているのは、田中くんの友人の太田くんの存在かもしれない。太田くんは一見コワモテだが、実は面倒みが良く、気配り上手なオカン系男子。

 学校でいつもけだるげな田中くんの面倒をみるのも、太田くんの役目だ。太田くんは当たり前のように田中くんの面倒をみて、時には田中くんのけだるい生き方を応援する。あまりの「けだるげ行動」にツッコミを入れたりもするが、田中くんに対して「苛立ち」や「不満」はなさそうだ。

 この二人の関係性が、読んでいてとても心地よい。設定としては友人なのだろうが、ただの友人とも違うように思える。だからといって、もちろんBLとは違う。たとえるなら、友人以上オカン未満の関係だろうか。とにかく、けだるい田中くんと、面倒みの良い太田くん、二人のやり取りを見ているとプッと吹き出してしまいそうになるし、温かい気持ちにもなる。まさに、ベストコンビなのだ。

 その他にも、魅力的な登場人物が多く登場する。

 クラスメイトの宮野は小柄だが、元気で明るい女の子。「けだるい女性」を目指して田中に弟子入りを志願するが、からまわりしてばかり。また、クラス委員長の白石さんは、品行方正、才色兼備、学園のアイドル!……と思いきや、実は超絶地味な中学時代を送っており、高校デビューしたという過去があったり。スケバン風の女の子、ツンデレ越前さんなる子も登場する。

「ダラダラしたい」一心で生きている田中くんと、個性的なクラスメイトが出会う時、おかしな化学反応が起こる。「たなけだ」はその化学反応が予測不能過ぎて面白いのだ。

 アニメ化にあたり、声優も発表された。

 田中くんは『ハリー・ポッター』の吹き替えや、『黒子のバスケ』などで人気を博した声優、小野賢章(おのけんしょう)さんが演じる。俳優・歌手としても活躍する小野さんが演じる「けだるさ」が今から楽しみだ。

 太田くんには、声優アワードで助演男優賞を度々受賞した細谷佳正(ほそやよしまさ)さん。クール系から熱血な役柄まで、幅広く演じる細谷さんは、主役というよりも、準レギュラー役をつとめているイメージが強かったので、今回の太田の役は田中くんの「助演」としてぴったりではないだろうか。

 ちなみに、宮野には高森奈津美さん、白石さんには小岩井ことりさん、越前には諏訪彩花さんと、実力派声優が勢ぞろいしている。

 アニメ化を果たして、更に「けだるげ」な面白さが加速するであろう、「たなけだ」から、ますます目が離せない!

文=雨野裾