『孤独のグルメ』作者のエッセイがドラマ化 エビ中・廣田あいかインタビュー

芸能

2016/4/8


『昼のセント酒』(久住昌之:原案、魚乃目三太:画、テレビ東京/共同テレビジョン:原作/幻冬舎)

 深夜ドラマとして人気を誇る『孤独のグルメ』。今やお腹の空いた時間に出くわす“飯テロ”の代名詞ともいえる作品だが、原作者・久住昌之によるエッセイ『昼のセント酒』を原案にしたドラマが、テレビ東京で放映される。

 営業成績はいつも最下位、しがないサラリーマンの主人公・内海孝之を演じるのはTEAM NACSの戸次重幸。上司にいつも怒られてばかりの内海だが、唯一の楽しみは「急用が入ったので……」と連絡しつつ、真っ昼間から銭湯へ入りビールを乾いたのどにクイッと流し込むこと。思わず憧れる“大人の至福”にひたる内海が、「ひとり銭湯」「ひとり居酒屋」の楽しみ方をゆる〜く伝えてくれる作品となっている。

 4月9日からの放映に先がけて、内海の同僚であるOLの遠藤早苗を演じるアイドルグループ・私立恵比寿中学(以下、エビ中)の廣田あいかへインタビュー。エビ中加入後初となるドラマへの単独出演、初めてのOL役にも挑戦する心境を語ってもらった。

撮影がはじまるまでは「輪に入っていけるかな」と不安もあった

――エビ中へ加入後、初となるドラマへの単独出演。当初の心境はいかがでしたか?

廣田「うれしさもあったけど正直、ビックリしました。スタッフさんに思わず『え、私ですか?』と聞き返しちゃったんです(笑)」

――昨年は映画『たまこちゃんとコックボー』で主演されましたが、映画とドラマは現場の空気も違いますか?

廣田「映画撮影は同世代で演技経験も同じくらいの方々がいたので、安心感もありましたね。今回はベテランの方々ばかりなので、撮影がはじまるまでは『輪に入っていけるのかな』と不安もあったんです。だけど、個性派な方々ばかりでみなさん気さくに声をかけてくださったのでホッとして。やさしい方々ばかりなので、撮影中も楽しいです」

――エビ中としては過去にドラマ『甲殻不動戦記 ロボサン』に出演されましたが、今回も同じく、監督がYuki Saitoさんなんですね。

廣田「はい。だから安心したのもあって。1人でのドラマ撮影は緊張もあったし、私のことを知らない方ばかりだろうと不安もあって。『ロボサン』では1ヶ月ほど一緒に過ごして、その後も私たちの舞台を観に来てくださったこともあったんです。だから、自分たちのことを知ってくださる方がいるのは心強かったし、暖かく迎え入れてくれたので素直に感謝していました」

ネックレスは本物の18金ダイヤ! 遠藤早苗は「女の子らしさ全開の子」

――今回、廣田さんが演じる遠藤早苗はどんなイメージですか?

廣田「早苗ちゃんは自分より年上なんですけど、性格は幼くてかわいらしいイメージかな。監督さんから『癒やしキャラで女の子らしくて、フワフワした子だよ』といわれたんです。女子力が高くて、デスク周りには化粧品が置いてあったり、パソコンもマスキングテープでデコレーションしてあったりと、女の子らしさ全開の子です(笑)」

――小道具にも注目ですね(笑)。初めてのOL役ですが、未知の空間でもあるオフィスの空気はいかがですか?

廣田「OLさん役と聞いて、初めはよく分からなかったんです。年齢も自分とは違うし、もちろん自分自身の経験もないし。撮影前にはスタッフさんたちから、『ぁぃぁぃOLさんの役なの!?』と驚かれるほどでした(笑)。でも、撮影中に色々な発見もあり『オフィスの常識も知らなきゃ』と感じるようになりました」

――具体的に、どんな発見がありましたか?

廣田「最初のカットではセリフがなく、みなさんの後ろで資料を持って通り過ぎるシーンだったんです。パソコンをなにげなく使っていたり、お茶を出すといった仕草をモニターで確認してみると『あ、私OLさんだ!』って気がついて。アドリブに近いシーンもあって、相手の方が『今日はお昼どこに行こうか?』と話しはじめたときに『こういう会話が自然なんだ』と実感したりもしました」

――徐々に空気をつかんでいった感じなんですね。オフィス内でのご自身の役柄、遠藤早苗はどんな役割なんでしょうか?

廣田「1人だけちょっと異質で、自分の世界を持っている子です。エリートの方々がそろう会社なんですけど、その中で、主役の内海さんがサボっちゃうんですよ。でも、内海さんから連絡をもらうことも多い。まわりの方々にいえば怒られそうなことも、早苗ちゃんには言いやすいんだと思います。ちょっととんちんかんだったりポンコツなところもあるけど、会社のマスコットですね」

――廣田さんも「ミラクルマジカルマスコット」と称されますが、共通点ですね

廣田「そうなんです。だから、早苗ちゃんがマスコットと聞いて『あ、この子もなんだ!』とピンと来るものがあって(笑)」

――意外な繋がりもあったんですね(笑)。キャラクターとご自身が重なる部分はありますか?

廣田「性格はたぶん、私の第一印象に近いのかなって。ふだんはよく、接しているうちに『イメージと違った』と言われることが多くて(笑)。趣味や性格が男の子っぽいんですけど、初めはすごく女の子らしいと思われるんです。だから、早苗ちゃんになりきれたら女の子っぽく思われるのかなという気持ちもあります」

――衣装もオフィスカジュアルで、清楚なイメージですよね。

廣田「監督さんのこだわりで、早苗ちゃんは“ピンク”や“黄色”がテーマカラーなんです。ふだん自分では選ばない色だから新鮮ですね。あとじつは、アクセサリーにもこだわりがあって」

――どんなこだわりですか?

廣田「よく見ると、ネックレスが本物の18金ダイヤモンドなんです」

――えー、そうなんですか!?

廣田「はい! だから、撮影で初めて知ったときはビックリしました(笑)。腕時計もピンクゴールドで、監督さんと早苗ちゃんのこだわりが詰まっているんです。ネックレスと腕時計を身につけると、早苗ちゃんのスイッチが入るような感覚なんです」

――それはぜひ目を凝らしていただきたいというか、ドラマの隠れたみどころですね(笑)

「無心になって何かに集中する」のが廣田さんならではの息抜き

――今回は“大人の息抜き”がポイントにもなるドラマですが、廣田さんは何か息抜きとして意識していることはありますか?

廣田「んー、音楽を聴くことかな。最近は、仕事の休憩中なんかにストレッチにもハマっています」

――ストレッチですか。何かはじめるきっかけはあったんですか?

廣田「いつからか健康的な自分を作り上げることにハマりはじめて。エビ中のお仕事でも、みんながわちゃわちゃしている楽屋の隅っこで黙々とやっています(笑)。1人で黙々と音楽を聴きながら、無心になって何かに集中する時間がいちばんスッキリするんです」

――お話を伺っていると、悟りを開いている感じですね(笑)

廣田「元々、無言で何かを作り出したり、集中している自分が好きなんですね。だから、学校の宿題や、絵を描いたり文章を書いたりするのも好きで。お仕事のあとも、遅くならないときは帰ってから絶対に翌日の朝ごはんやお弁当を作るんです。朝が遅く、夜が長くなりそうなときも冷蔵庫にあるものでバーっと作ったり」

――お忙しいスケジュールの合間でも、動き続けている感じですね。

廣田「止まってると何だか『自分がダメになる』と思う瞬間がやってきて。いったん行動するととにかく動きまわって、疲れると何もしなくなってまた動き出すような感じですね。ふだんからも、人から言われるほどおしゃべりなんですけど、突然『1人になりたい!』って衝動に駆られたり(笑)。無言で何かを作り出す方向に走ると、何だか心が洗われるんです」

――日頃の原動力にもつながっているようですね。それでは最後に、ドラマを心待ちにされる方へのメッセージをお願いいたします。

廣田「物語を楽しめるのはもちろん、いろんな銭湯やご飯屋さんを知ることもできます。土曜日の深夜なので『明日は日曜日だからちょっと夜更かししようかな』と思う人たちが気持ちをリセットして、平日に『またがんばろう』と思えるなら素敵ですね。その中で、早苗ちゃんはだいぶゆるいキャラクターなんです。演じていてもため息まじりに気が抜けるような、親しみを感じられる女の子。だから、ちょっとでもほっこりしてもらえるように、撮影もがんばっていきたいです」

 気の抜けた時間帯に、大人ならではの楽しみを伝えてくれるドラマ『昼のセント酒』は、テレビ東京系で4月9日 土曜 深夜0時20分〜スタート。ビール片手にゆる〜い世界観を味わってみるのも一興だ。

◎エッセイ『昼のセント酒』(カンゼン)紹介
 『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』の作者、久住昌之によるエッセイ。都内各所にある趣きのある銭湯や居酒屋を巡る中で、大人なら誰もが味わい深く思えるようなノスタルジー溢れるエピソードが凝縮された1冊。

ドラマ『昼のセント酒』

取材・文・撮影=カネコシュウヘイ、撮影・編集補助=いのうえゆきひろ