時代劇が初の受賞! 第34回向田邦子賞はNHK木曜時代劇「ちかえもん」に決定

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2016/4/8

    藤本有紀(C)東京ニュース通信社

 優れたテレビドラマの脚本家に贈られる「第34回向田邦子賞」受賞者の発表が2016年4月5日(火)に行われ、NHKの木曜時代劇「ちかえもん」を手掛けた藤本有紀の受賞が決定した。歴代の向田邦子賞には、宮藤官九郎「うぬぼれ刑事」や森下佳子「ごちそうさん」などが名を連ねるが、34回の歴史の中で時代劇が選ばれたのは初めてだ。

 藤本は「狙って新しいことをやろうと思った記憶はないが、『今までとは違うものを書きたい』気持ちは最初からあった。プロットを書いている段階で、もう近松は現代語を喋っていた」と制作の裏話を語り、「本当にうれしいです」と受賞について喜びを語った。

 受賞作品の「ちかえもん」は、主人公の中年作家・近松門左衛門が元禄時代を代表する人形浄瑠璃である「曽根崎心中」を書き上げるまでを描くオリジナルの時代劇。近松が現代語を喋り、昭和の名曲を替え歌で口ずさむなど、時代劇らしくないキャラクターとセリフが人気を博した。主人公の近松門左衛門には松尾スズキ、そのほか青木崇高、優香、小池徹平、北村有起哉など実力派俳優たちが脇を固めたことも人気の要因といえるだろう。

 今回の受賞理由は「『ちかえもん』は、近松門左衛門と『曾根崎心中』を洒落て茶化して一遍の黄表紙本に仕立て上げた快作です。大阪弁の遊びがまことに面白く、言葉を操って虚を実にし、実を虚に見せる技は申し分が無い。この筆力に敬意を表する」とのこと。

 また、選考委員会の池端俊策は「今回は『ちかえもん』が抜群に面白く、対抗馬が見当たらないほどだった」と絶賛。また、藤本について「非常に力のある人。脚本に力がみなぎっている。選考委員の全員一致で決まった」と語っており、今年の選考作品の中で、ダントツの評価での受賞となったようだ。

藤本有紀(ふじもと ゆき)
1967年兵庫県出身。テレビドラマの主な脚本は、「ラブ・レボリューション」、「花より男子」、連続テレビ小説「ちりとてちん」、大河ドラマ「平清盛」、土曜ドラマ「夫婦善哉」など。

向田邦子賞とは
故・向田邦子がテレビドラマの脚本家として、数々の作品を世に送り出し活躍してきた功績をたたえ、現在のテレビ界を支える優秀な脚本作家に送られる賞として、1982年に制定された。主催は『TVガイド』を発行する東京ニュース通信社で、選考は歴代受賞者らによる向田邦子委員会が担当。前年度に放送されたテレビドラマを対象に、選考委員がノミネート作品を選定。本選を含めて4回の討議を経て受賞作品を決定する。選考委員は池端俊策、冨川元文、大石静、岡田惠和、井上由美子(向田邦子賞受賞順)。