今年もレジェンド級ロックスターの話題続々! ボブ・ディラン、デヴィッド・ボウイ…「ロック界」の歴史を変えた音楽を知る1冊

音楽

2016/4/10


『ロックの闘い 1965-1985』(サエキけんぞう/シンコーミュージック)

 夏フェスの出演者が続々発表になるこの季節。一方で今月頭にボブ・ディランが来日公演したり、デヴィッド・ボウイの回顧展『DAVID BOWIE is』情報が発表されたりと、レジェンド級のロックスターの話題も定期的に目に飛び込んでくる。なにせ日本の音楽産業市場規模は3000億円(2015年度)。世界市場の16%を占めるダントツの音楽大国であり、世界中のミュージシャンから注目される存在なのだ。

 ところで、読者の中にはJ-POPは聞いても、いわゆるレジェンド系ロックには馴染みがないという人も多いかもしれない。「ロックってオヤジのものでしょ?」そんなふうに決めつけているとしたら、ぜひ『ロックの闘い 1965-1985』(サエキけんぞう/シンコーミュージック)をオススメしたい。

 ディラン、ビートルズ、ジャニス・ジョプリン、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ピストルズ、ボウイ…一度は聞いたことのありそうなロックスターのアルバムを1965年から1枚ずつとりあげているこの本、一見するとありがちな名盤紹介に見えるが、さにあらず。実は紹介されているのは必ずしも彼らの代表作ではなく、それぞれが実験や奮闘を積み重ね、当時はまだ未成熟だった「ロック界」の歴史を変えた意欲作ばかりなのだ(それが1年に1枚並んでいるというのも、考えてみれば興味深い)。話題の中心もそうしたドラマ性であり、読めば「古くさい」と敬遠していたロックが、若いチャレンジの固まり(=闘い)であったことを実感するだろう。

 著者は作詞家であり、今年デビュー30周年を迎えたロックバンド・パール兄弟のボーカルであるサエキけんぞう。コミックマーケットに出て同人文化に親しんだり、KADOKAWAの「ケツジツ」(受注生産販売プラットフォーム)でアルバムリリースプロジェクトを始めたりと(6月28日の渋谷クアトロでの記念ライブを申込者限定でリリース。レコード会社や流通などの既存システムを使わない新たな試みとなる)、キャリアを積んだアーティストには珍しく常にチャレンジをいとわない著者だからこそ、こうしたレジェンドの孤軍奮闘に共感するのかも。

 歴史を作り出すのは、個人の闘いの積み重ねーそんなロックに思いを馳せれば、音も新鮮に聴こえてくるに違いない。