就活をきっかけに文学賞で大賞受賞! 北海道大学4年生女子

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/28

「……おれ、女のひとがだめなんだ」「知っていたよ。見ていたから」
  
そんな告白シーンから始まる、不思議で愛おしい青春小説『笑えよ』が、第6回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞した。
  
高校生男女3人の“つながり”をみずみずしく描き出したのは、工藤水生さん。 工藤さんは現在、北海道大学文学部に在学中の「2回目の4年生」。現在の立場を選んだ理由は、就職活動に再トライするためだった。本が第好きな彼女の第一志望は、『ダ・ヴィンチ』を発行するメディアファクトリー。小説を書き出したきっかけは、昨年の就職活動だったという。
  
「メディアファクトリーのエントリーシート(就職試験の一次選考を兼ねた用紙)に、“何か表現した経験はありますか?”という項目があったんです。もしダ・ヴィンチ文学賞で一次選考を通過できたら、それをエントリーシートに書けるぞ、と。今年も受けるつもりだったんですが、賞をいただいてしまったので・・・・・・今は頭が真っ白です(笑)」
  
投稿はしたが、自分の書いたものが多くの人に読まれることは想像もしていなかった。 「呼びかけるようなタイトルにしたら、気になって、手に取って読んでもらえるかもしれないなと思ったんです」。
  
彼女がこの小説で一番こだわったのは、ラストだ。
  
「ハッピーエンドかどうか、一概には言えない。すぐわかるような希望ではないけれど、そこにはちゃんと希望があるっていう。そういうものが私自身も好きだし、自分でも書ければいいなって。分類不可能な感情や関係性、言葉にできないものを言葉で表現してくれるのが小説じゃないかって思うんです。
  
第1作を紡ぎながら、工藤は小説の意味を肌身で理解したのだ。
  
「初めてこの長さの小説を書けたことは、自信になりました。次は何が書きたい、というはっきりしたイメージはまだありません。でも、私の小説を読んで、選んだくださった皆さんのお気持ちに応えるためにも、必ず、書きます」。
  
(ダ・ヴィンチ7月号 第6回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞者Interviewより)