つげ忠男『成り行き』実写映画化決定にファン歓喜!「つげ忠男に佐野史郎、瀬々敬久って全方位完璧!!」

映画

公開日:2016/4/12


 マンガ家・つげ義春の弟としても知られる、つげ忠男のマンガ『成り行き』が、「なりゆきな魂、」というタイトルで実写映画化されることがわかった。またキャストには超豪華な面々が名を連ねており、世間からは「実写映画化っていうだけでテンション上がるのにこのキャストは楽しみすぎる!」と喜びの声が上がっている。

 今回実写映画化される『成り行き』は、2015年10月に発行されている同名短編集に収められた作品。殺人を犯した2人の初老の男と、争い続ける若者達を凝視する初老の男、バス事故によって運命を翻弄される人々の人生が交錯する様子が描かれた作品だ。

 原作者のつげ忠男は、マンガ家であり『ねじ式』や『ゲンセンカン主人』といった人気作品で知られる兄つげ義春の影響を受け、1960年ごろから、当時マンガ業界で主流だった“貸本マンガ誌”の『街』に短編を投稿。『自殺しに来た男』が「第9回新人コンクール入選作品」に入賞しデビューを果たした。

advertisement

 精力的に貸本マンガに作品を発表していたつげだったが、1961年から1967年までは作品発表のない空白の時代を送っている。それでも1968年に『丘の上でヴィンセント・ヴァン・ゴッホは』でマンガ雑誌『ガロ』再デビューにいたり、注目を浴びるようになった。

 つげの描く物語は、売れない作家が水上生活者の真似をして船の上で暮らし始める『舟に棲む』や、うだつの上がらない会社員が河童を見つけたと言い出したことから物語が始まる『河童の居る川』と、社会から少しはみ出した人々の生活を見つめ、真正面から描いていくものが多い。その作風は多くの「社会に対する生き辛さ」を感じている人の共感を得た。とりわけ『ガロ』で発表した、終戦後の日本を描いた『無頼平野』は評価が高く、つげの代表作品とされ、1995年には鬼才と呼び声高い映画監督、故・石井輝男により実写映画化もされ好評を博した。

 そしてこのたび、2015年10月に発売された『成り行き』の実写映画化。キャストは佐野史郎、柄本明、足立正生などいぶし銀の実力派揃いであることがわかった。特に佐野は、つげ忠男の兄であるつげ義春原作・石井輝男監督の実写映画「ゲンセンカン主人」で義春をモデルとした主人公を演じた上、つげ忠男の「無頼平野」でも忠男役を演じているとあり、ファンからは「つげ忠男作品に佐野史郎とか、間違いないでしょーー!!」「キャスト見たとき鳥肌たった。忠男ファンとしては渋い面子揃えてくれて嬉しい!」「映画化すっごい嬉しい! けど実写化難しくないか!? けどこのキャストなら期待大!」と激しく興奮している。

 さらに今回監督を務めるのは、ピンク映画界で“ピンク四天王”として名を馳せ、ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞とNETPAC(最優秀アジア映画)賞を獲得した映画「ヘヴンズストーリー」や、第35回モントリオール世界映画祭でイノベーションアワードを受賞した「アントキノイノチ」の監督を勤めた瀬々敬久監督。世間からは「石井輝男亡き後、つげ作品の実写化はやめて欲しいと思っていたけど、瀬々監督だったら見たい」「石井輝男のつげ映画も好きだったけど、瀬々監督と聞いて俄然見たくなってきた。ていうか絶対見る!」「つげ忠男に佐野史郎、瀬々敬久って全方位完璧!!」と期待の声が上がっている。

 クランクインは4月上旬からとなっており、今まさに撮影がスタートを切ったというところ。瀬々監督のツイッターでは、エキストラ募集のお知らせなどもされている。残念ながら1回目のエキストラ撮影は終わったようで「ああーー! つげ作品に出られるチャンス逃した!!」「エキストラ募集してるやん! つぎ募集かかったら絶対行く!」「お願い! 渾身の芝居するからもう1回エキストラ募集して!」と、悔しがっているファンが大勢いる。

 キャスト、監督、ともに実力者ぞろいの布陣が揃い、素晴らしい作品になることが期待できそうだ。原作ファンは勿論、つげが見つめてきた“社会から少しはみだしている”人に共感する人や、「身近にいる!」という人、実際にはみだしている人も、きっと楽しめるのではないだろうか。

映画「なりゆきな魂、」
原作:つげ忠男
監督・脚本:瀬々敬久
出演:佐野史郎、柄本明、足立正生 ほか

■『成り行き
著:つげ忠男
価格:1,080円(税込)
発売日:2015年10月13日
出版社:ワイズ出版