文系理系を問わず学ぶからこそ“学問”は楽しい!大人のための「教養本」

文芸・カルチャー

2016/4/18


『あらゆる「学」の歴史とつながりがわかる 学問のしくみ事典』(日本実業出版社)

文系と理系。日本ではとりわけその違いが語られる機会も多く、実際、昨今は大学の「文系不要論」も大きな話題を集めた。しかし本来、学問というのはその分類に問わず「横断的かつ学際的な学習でなければ意味がありません」というのは、書籍『あらゆる「学」の歴史とつながりがわかる 学問のしくみ事典』(日本実業出版社)を監修した、脳科学者・茂木健一郎さんの言葉である。

インターネットの登場もあり、人や情報が時間や場所も超えて目まぐるしく行き交う現代社会。事実を見きわめる力がそれぞれにゆだねられた環境においては、「遠回りのようでも基礎から『教養』を磨き、また日頃から『本物』に触れて、物事の本質を見抜く眼を育む必要があります」と訴える本書では、人文科学、社会科学、自然科学、文化芸術から、さらに枝分かれした様々な学問の歴史や基礎を学ぶことができる。

さて、広く「学問」という言葉に集約されるが、すべての起源はギリシアで生まれた「哲学」につながる。英語で哲学を表す「philosophy」は元々、「知恵を愛する」というギリシア語に由来している。

紀元前、古代ギリシアの学者たちは神話的・情緒的な世界を具体的に映し出すべく、合理的・統一的な解釈をもたらそうとしていた。それを象徴するのが一つに集めるという意味を持つ「logos」という言葉だ。のちに、論理や論理学を示す「logic」の語源になった言葉でもある。

学問を手にした古代ギリシア人は、自然を「変化するもの」と「変化しないもの」に対立させて世界を捉えようとした。そのさなか、人類最初の哲学者として登場したのが自然学者・タレス(BC624頃〜546頃)である。

タレスは、変化しないものとして“水”こそが、万物の根源である「アルケー」だと唱えた。この思想は哲学の誕生とされるが、その意義は、水をアルケーとしたことではない。タレスの功績は「万物の根源とは何かという問いを立てたこと」そのものであり、人類が初めて学問の意義を明らかにするきっかけにもなった。

その後、西洋哲学はさらに体系化されていった。「無知の知」で知られるソクラテス(BC469頃〜399)の弟子であるプラトン(BC427〜347)は、不変なものとして「イデア」を提唱。さらに、その弟子であるアリストテレス(BC384〜322)は、その本質に「エイドス(形相)」を唱え、ここから哲学は、「事物」と「思惟」、「実在」と「観念」、「感性」と「理性」という、いまだ残る命題へとたどりつくことになる。

やがて、哲学に端を発した学問は、世界中へ広まり枝分かれしていった。学問とは「学問とは何か」と追求することであるというのは、本書の伝える言葉である。

目に見えるものや見えないもの、その対象は様々であるが、歴史や系譜をたどると“世界の変化”にも気づける。そして、文系なら理系、理系なら文系といったように、本書を通じて専門外の分野へふれてみると、世界のあらゆるものごとがつながっているように不思議と思えてくる。

文=カネコシュウヘイ

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