ただの王道じゃない! “BL×サイコパス”人間の欲望を描く問題作!

BL

2016/4/15

 数あるBLの「王道」と呼ばれるカップリング。その中でもケンカばかりするカップル、いわゆるケンカップルものが好きという方も多いのではないでしょうか? 斯く言う私もそんなひとりです。『カラーレシピ』(はらだ/KADOKAWA)も毒舌系王子様×不器用朴念仁君のケンカップルものかと思いきや、独特の世界観を持つはらだ先生の作品とあって、そんな簡単なものじゃない気配が表紙からもひしひしと伝わってきます。赤と黒のコントラストが目をひく表紙、そのタイトル文字も角度によって違ってみえる仕掛けで、何やらとても意味深です。

 ストーリーは、最悪な出会いから始まります。街頭でビラ配りをしていたスタイリストの笑吉は、ケンカを売ってきた男をカッとなって殴ってしまいます。店に戻った笑吉に店長が紹介したのは、さっきのムカつく男。それは一緒に働くことになったトップスタイリストの福介でした。ある日、終電を逃した福介を渋々自宅に泊まらせることになった笑吉。夜中に違和感を感じて目を覚ました笑吉が見たのは、なんと自分をオカズに福介が自慰しているところ。福介から「酔っていたと流せ」と言われてますます嫌いになりつつも、それをきっかけに2人の距離がぐっと縮まります。出会いは最悪、口を開けば言い合いというのも、ケンカップルの王道。笑吉と福介の小気味いい会話は、甘いその後の展開を匂わせています。しかし、笑吉の常連客・鬼原が接触してくるようになり、笑吉の周りでは奇妙な出来事が起き始めて……。

 鬼原からの執拗なアプローチ。さらに、無言電話からエスカレートしていく正体不明のストーカー。精神的に追い詰められていく中、悪態をつきながらも手を差し伸べてくる福介の存在が笑吉の心を激しく揺さぶります。そしてラストは、思いもよらない展開が。

 緻密に考えられた構成、息を飲むラスト、複雑に交錯する人間模様、垣間見える欲望と欲情、そしてすべての謎を知ったあと、読み返すことでさらに深みを増すストーリー。
王道と連呼してすみませんでした!いい意味で裏切られました!(土下座)

 読後の感想は、帯文句そのものの、ただただ「ゾクゾクする」に尽きます。

 甘いだけの王道BLではない、人間の欲望をさらけ出すサイコパスな情愛の物語をぜひ体験してください。

 ラストまで読んで、個人的に好きになったキャラクターは、意外にも鬼原さん。読み返したとき、彼が一番マトモに見えて、その純粋さに魅力を感じてしまいました。これ以上はネタバレになるので言えませんが、そのほかのサブキャラもクセがありすぎて、物語に今後どう絡んでいくのか続刊が楽しみな限りです。


福介が飢えを感じるほど手に入れたいものとは?

 


笑吉は次第に精神的に追い詰められていく。

 

続々重版出来&ドラマCD化も決定!!

文=大島亜衣香