『星守る犬』小説版は、作家・原田マハ自ら「小説化したい」と熱烈アピール

文芸・カルチャー

2011/9/5

リストラされた挙げ句に熟年離婚、子どもともうまくいっておらず持病を抱えて途方に暮れる中年男性と彼に付き従う愛犬の物語――映画化された 『星守る犬』が話題になっている。
  
 原作は1980年代に動物ギャグ漫画『ナマケモノが見てた』で人気を集めた村上たかし氏の漫画作品で、同作はダ・ヴィンチの「BOOK OF THE YEAR 2009」の「泣けた本ランキング」でも1位を獲得した。
  
その原作漫画を村上たかしが世に送り出したのは、2009年夏のこと。その切なくて心温まるストーリーに、犬好きだけでなく、多くの人の心が動かされてきた。犬好きの原田マハさんもご多分に漏れず、その一人で、この度『小説 星守る犬』(双葉社)を刊行した。
  
「とにかくハッピーの媚びていない可愛さが好きなんですよ! それに、この作品は、犬と人間の話であるのと同時に、人間の暮らしそのもの、人間の人生そのものを、うまく俯瞰していると思うんです」
  
デビュー作『カフーを待ちわびて』から、犬にまつわる話をいくつも手がけている原田さん。作品に惚れ込むあまり、自分の手で小説にしてみたいと思ったのだという。
  
「自分が小説にするとしたらどんな感じで書くだろうとか、ずっと妄想していたんですね。物語性が高い漫画ですし、自分の言葉で置き換えてみたいという気持ちがググッと高まってきて」
  
別件の打ち合わせで双葉社を訪れたとき、原田さんは担当者に「小説化してみたい」と打ち明けた。「まるで片思いの告白をするような勢いですよ(笑)」
  
ノベライズにあたって、原田さんが最も気を遣ったのは、原作の印象を損なわないようにすること。言葉通り、小説には原作の心地よい温もりがそのまま詰め込まれ、漫画では表現できなかった部分が優しくフォローされている。
  
「私たち人間って、犬を可愛がるとか小さな花を見ることで幸せを感じることができる不思議な生き物だと思うんですよね。『星守る犬』は、困った人や悲しみのどん底にいる人に、ささやかに語りかける物語なんじゃないかなと思っているんです」
  
(ダ・ヴィンチ7月号 犬いい話より)