鈴木杏が書店で膝を抱えそうになるくらい痺れる本とは?

芸能

更新日:2011/9/5

「もう、タイトルからメインディッシュですよね、江國さんの本って。ちょっと書店で膝を抱えちゃいそうになるくらい痺れます」
  
「小学4年生のときからずっとファン」という女優の鈴木杏さんが選んだ本は、江國香織の『抱擁、あるいはライスには塩を』(集英社)。柳島家という一家の、3代にわたる家族の物語だ。
  
「江國さんは恋愛の話ももちろんいいんですが、家族について描かれた話がすばらしいなあって。なかでも『抱擁~』は究極。出てくる一人ひとりが愛おしすぎて、読み進めるのがもったいない気持ちになりました(笑)」
  
祖母に両親、4人のきょうだい、さらには叔父や叔母も同居する柳島家は、独自の価値観の中で生きている。
  
「“お父さんなんだから××しなくちゃいけない”というような枠のない家庭で育つというのは、なんて素敵なことなんだろうと。両親の結婚外の恋愛にしても、ちょっと腹を括る感じがかっこいいというか。難しいことだけど、そんなふうに生きられたらいいなあ」
  
 そんな鈴木さんが最近読んでいるのは、中上健次。主演した映画『軽蔑』の原作者でもある。
  
「原作を読んで、主人公の真知子にとてもあこがれました。こんなにむき出しで生きられる強さとしなやかさってなんだろう?って。この映画を通して、動物的でいるのは大事なんだなって改めて気付きました。演技に対して、監督は生身なものを求めていたんだと思うんです。役者としても、ひとりの人間としてもとても大事なことを教わりました」
  
『軽蔑』との出会いを「奇跡」と話す鈴木さん。本作で、たしかに強くたくましい女優として、新たなステージに立ったはずだ。
  
(ダ・ヴィンチ7月号 あの人と本の話より)