口ベタでOK!「話がうまい人」より人間関係が上手くいく「話しかけられる人」になるためのテクニック

暮らし

公開日:2016/4/19


『話しかけなくていい!会話術』(木村隆志/CCCメディアハウス)

 あなたは自分のことを「話し上手」な人だと思いますか? だったら、この本を読む必要はないかもしれません。「うまく話す自信がない」「何を話したらいいかわからない」という話しベタなあなたにこそ読んでいただきたいのが、この『話しかけなくていい! 会話術』(木村隆志/CCCメディアハウス)。

 「積極的に話そう」「会話上手になろう」というコミュニケーション術の本は、これまでもたくさん出ていますが、この本は、相手に「話しかけさせる」ことがポイント。「無言」か「ひと言」のみで会話を盛り上げ、「相手から好かれる」というコンセプトで書かれている本書、一般的なコミュニケーション術としてはもちろん、恋愛にも応用できそうな88のノウハウがわかりやすく紹介されています。

話しかけられ上手な人の特徴は「5S」

スマイル(Smile)=笑顔
サイト(Sight)=視線
サイン(Sign)=合図
サルート(Salute)=会釈
スキンシップ(Skinship)=接触

advertisement

 なるほど、上記の 「5つのS」には、どれも言葉は必要ありません。「目は口ほどに物を言う」というように、「好き」と直接言うよりも、この5つのノンバーバル(非言語)コミュニケーションの方が気持ちが伝わり、相手に好印象を与え、チャンスが広がるといいます。

「話しかけさせる」現場テクニックとは

・部屋や会場のセンターで待つ

 飲み会、パーティなど人が集まる場では、口ベタだからといって、テーブルの隅や会場の壁の花になるのではなく、あえて真ん中にポジショニング。ニコニコ笑って待っていれば、自然に視線を集め、話しかけられるそうです。

 ここで、話し相手がいないからといって携帯電話を見るのはNG! この瞬間、話しかけられるチャンスは消滅してしまうそうなので、ここはグッとこらえてスマイルをキープ!

・広い会場では、異なる距離から3度視線を合わせる

 これは、ちょっと高度なテクニックかもしれませんが、すれ違うくらいの近距離、声が聞こえるかどうかの中距離、ギリギリ顔が確認できるくらいの遠距離、この3カ所で目が合うと、相手に「よく目が合うな」と自然な形で思わせることができるそう。たしかに、自分がこんな形で誰かと目が合ったとしたら、ドキッとしますよね。気になる人がいたら、この方法で、まずは遠距離から攻めていくのもアリかもしれません。

 でも、やり過ぎはストーキングに近いものとなるので、あくまでもソフトに、と著者は注意しています。

・職場では、相手が「達成感や安堵感を抱くタイミング」、または「最もリラックスした瞬間」を狙う

 仕事が一段落した時や、オフィスの休憩室、喫煙所、自販機のある場所などでは、心にゆとりがあり、自然と人との距離が縮まりやすい状態。意中のあの人から話しかけられるチャンスになるかも。

 このように、相手から話しかけられるためのテクニックを知ったら、お次は「相手の話が弾む」無言のアクション、相手の「テンションを上げる」返事の仕方、「さらに好感度を上げる」小技、等々、こちらがそんなに話さなくても、相手と楽しくコミュニケーションが取れ、しかも相手に好感を持たれる、さまざまなテクニックが紹介されています。

 著者の木村隆志氏は、これまで1万人以上の相談を受けてきた人間関係コンサルタント、であり、また、多くの著名人のインタビューをしてきたプロのインタビュアー。本書で紹介されているテクニックの数々は、実際に、氏がこれまで実践してきたことに裏付けられているので、説得力があります。

 本書で紹介されているノウハウの多くに共通点がある。それは、人に話しかけられ、話を弾ませるためには、あなたが相手に興味を持っていることを感じさせるということ。人間の脳には、自分のことを好きになってくれる人を好きになるという好意の返報性があるそうです。恋愛に限らず、好意を態度で示せば、相手から好感をもたれることにつながるというわけですね。自分のことを面白く話せることより、むしろ、こちらの方がコミュニケーション上手だといえるのかもしれません。

 手始めに、本書に紹介されていることのひとつでも実践してみたら、これまでの他人との関係にいい変化が現れるかも。人との会話に苦手意識のある人に、勇気を与える一冊です。

文=森野 薫