”おしり美人猫”という新ジャンルを開拓!『コトのおちり』

文芸・カルチャー

2016/4/21


『コトのおちり』(Mai Yamamoto/扶桑社)

社会道徳秩序の維持を目的とする「公然わいせつ罪」に違反すると、刑法174条の定めるところによれば、「6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、科料」が科せられます。例のメンバーのように翌日釈放になる場合もありますが、何はなくとも後始末にかかる労苦は想像に耐えません。

人間であれば、多大なる犠牲を払う覚悟を持たずには実行できない「ケツ丸出し」。しかもそれを写真集として販売した上に、大人気を博すという、人間にはできないことをやってのける生き物、それが猫。そんな一冊が、白猫「コトちゃん」のおしり写真を集めた『コトのおちり』(Mai Yamamoto/扶桑社)であります。

「ぷりけつ選手権優勝」との触れ込みで、表紙から光圀公を見せつける白猫「コト」。ひとたびページをめくれば、全身真っ白な毛色にピンクの耳と鼻、オッドアイのお目々に、くるんと巻かれたボブテイル。柄付きの猫ならば、黒やらサビやらの毛色に紛れていますが、おしりの周囲も真っ白で、鎮座するピンクの中納言に自然と目がいってしまうのも道理です。

コトちゃんの魅力は黄門様ばかりではありません。おしりを見つめる飼い主さんを見遣るつぶらな瞳と、「いつも通りの、私の後ろ姿を見て何が楽しいのか分かりかねる」とも言っているかのようなキョトンとした表情とのギャップ。そして、繰り出される「頭隠して尻隠さず」写真。コトちゃんが開拓した「おしり美人猫」の奥深さとほほ笑ましさが、同居猫のモコちゃんとの暮らしぶりとともに伝わるのであります。

猫とともに暮らす者どもが、この写真集を読み終わったら行うこと、それはわが家の猫のおちりチェックでありましょう。シッポをまくり上げて、いままで見逃していたピンポン菊を拝見し、シッポの付け根から太ももに掛けてなでる猫尻の触り心地の奥に秘められていた、わが家の猫のかわいいスポットを一つ発見するわけです。

ただし、場所が場所ですので、直接触るのはお互いの幸せのために慎んだ方がよろしいでしょう。適切な距離が必要なのは、人と人との間ばかりではなく、猫と人との間のコミュニケーションでも同じなのであります。

文=猫ジャーナル